Microsoft SharePoint Onlineのセキュリティ対策を基礎から解説

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クラウド活用とリモートワークの拡大に伴い、情報漏洩対策とデータ保護の重要性は一段と高まっています。本稿では、Microsoft SharePoint Onlineにおけるデータ暗号化、アクセス権限管理、多要素認証など、セキュリティを強化するための具体的な手法をわかりやすく解説します。

SharePoint Onlineとは

SharePoint Onlineは、マイクロソフトが提供するクラウドベースの情報共有・管理プラットフォームです。企業が文書やデータを社内外で安全に保存・共有できる仕組みとして多くの組織で導入されています。主な特徴としては、複数ユーザー間での共同作業が可能であり、リアルタイムでファイル編集やアクセス権限管理を行うことができます。また、クラウド環境の強みを生かして、いつでもどこからでも安全にデータへアクセスできるという利便性があります。企業の業務効率化やリモートワークの推進とともに、情報漏洩などのリスク管理にも配慮したサービス設計となっています。これによりIT管理者やセキュリティ担当者が求めるセキュリティ基準にも対応した運用が可能です。

SharePoint Onlineのセキュリティ対策

SharePoint Onlineでは、アクセス権限管理や多要素認証、データ暗号化など複数のセキュリティ対策が導入されています。

SharePoint Onlineで想定すべき脅威とリスク

SharePoint Onlineの利用に際しては、情報漏洩や不正アクセス、サイバー攻撃など、さまざまな脅威が想定されます。特にクラウドセキュリティの観点からは、アクセス権限の設定不備によるデータ流出、ウイルスやマルウェアによる損害、そして内部不正によるデータ改ざんなどが懸念されます。また、リモートワークの普及により、社外接続端末のウイルス対策や多要素認証の未導入がリスク要因となります。さらに、定期的な監査ログの確認不足やバックアップ・リカバリ体制の不備も、セキュリティインシデント発生のリスクを増大させます。これらの脅威に対しては、データ暗号化やアクセス権限管理、監査ログの活用など具体的な対策が不可欠です。

データ保護

SharePoint Onlineのデータ保護には、暗号化や適切なバックアップ運用が重要です。

データの暗号化と保護方法

SharePoint Onlineでは、保存されるデータは自動的に暗号化され、第三者からの不正アクセス保護が徹底されています。具体的には、AES256による強力なデータ暗号化が実施されており、通信中のデータもSSL/TLSによって保護されます。これに加えファイルの暗号化だけでなく、転送時のセキュリティにも配慮されています。管理者は必要に応じて、サイト単位でアクセス権限管理や権限設定を細かく調整し、情報漏洩のリスクを最小化できます。また、万が一システム障害や人為的ミスが発生した際にも、バックアップと迅速なリカバリ手順によって大切な情報の保護が可能です。これらのデータ保護策を徹底することで、企業としての信頼性向上や法令遵守にもつながります。

アクセス権限管理

アクセス権限管理は、ユーザーごとに情報の閲覧・編集範囲を細かく制御する重要なセキュリティ対策です。

権限の設定と管理方法

SharePoint Onlineでは、ユーザーやグループごとにファイルやフォルダーへのアクセス権限を細かく設定できます。管理者は「所有者」「編集者」「閲覧者」などの権限レベルを割り当てることで、情報漏洩や不正利用のリスクを低減します。具体的な管理方法としては、サイトの設定画面からユーザーごとにアクセス権限を管理し、必要最小限の権限設計を心掛けます。また、権限の変更や付与履歴も監査ログとして残るため、万一の事態にも迅速な対応が可能です。さらに、アクセス権は定期的に見直し、不要になった権限を削除して安全性を保ちます。これによりデータ保護を強化しつつ、利用効率も維持できます。

定期的なアクセス権の棚卸

定期的なアクセス権の棚卸は、SharePoint Onlineのセキュリティ維持に不可欠です。まず、ユーザーごとに付与されている権限を一覧化し、不要な権限や重複した設定を確認します。契約終了や部署異動など、組織変化にともない適切なタイミングで権限棚卸を実施することが重要です。その際、監査ログも活用し、権限が適切に管理されているかチェックします。さらにアクセス権棚卸のプロセスを定期運用化することで、人的ミスや情報漏洩、および内部不正のリスクも軽減できます。効率的な棚卸を行うためには、権限管理ツールの活用や分かりやすいガイドライン作成も効果的です。

多要素認証の導入

多要素認証の導入は、アカウント不正利用や情報漏洩の防止に大きな効果があります。SharePoint Onlineでは、パスワードに加え、スマートフォンの認証アプリやメール、SMSによる追加認証を設定できます。これにより、万が一パスワードが流出した場合でも、第三者の不正アクセスを防止できます。設定は管理センターから簡単に行え、IT管理者は全ユーザーへの導入を推奨しています。多要素認証はクラウドセキュリティ強化の定番施策として、企業規模を問わず効果的です。業務とセキュリティを両立した安全な環境構築に役立ちます。

監査ログの活用

監査ログの活用は、不正アクセスや情報漏洩防止につながる重要な管理方法です。

監査ログの設定方法

SharePoint Onlineでは、監査ログの設定によりユーザー操作やアクセス履歴を詳細に記録することができます。管理画面から監査ログを有効化し、どの操作項目を記録するのか選択することで、必要な情報のみを効率よく収集できます。たとえば、ファイルの閲覧・編集・削除など、重大なアクションが自動的に記録されるため、万が一セキュリティインシデントが発生した場合も原因究明に役立ちます。監査ログは定期的に確認し、異常なアクセスや不審な動作を早期に検知します。これにより、内部不正や情報漏洩のリスクを最小限に抑えることができるほか、法令遵守やコンプライアンスの証拠としても活用可能です。

ログの分析と活用事例

監査ログを分析することで、日常的な業務ミスや不正アクセスの兆候をいち早く発見できます。たとえば、通常発生しない時間帯のファイル編集や、同一ユーザーによる連続した権限変更などがあれば、すぐに社内のセキュリティ担当者が調査対応を開始します。また、監査ログは社内教育や業務プロセス改善の材料としても活用でき、定期的なレポートを活用した分析によってセキュリティ対策の強化につながる事例が増えています。さらに、不正アクセスが疑われた場合は、監査ログから関係ユーザーの詳細な挙動を追跡し、迅速な対応と根本的な対策を講じられます。このような運用で、クラウドセキュリティを高めることが可能です。

ウイルス対策とサイバー攻撃防御

ウイルス対策やサイバー攻撃防御には、最新のセキュリティソリューション導入が不可欠です。

Microsoft Defenderの活用

SharePoint Onlineは、Microsoft Defenderとの連携により高度なウイルス対策を実現しています。Defenderは、クラウド環境内のファイルやリンクを自動スキャンし、マルウェアやランサムウェアなどの脅威をリアルタイムで検知します。管理者はポリシー設定により、疑わしいファイルの隔離や自動通知、ユーザーへの警告表示など柔軟な対応が可能です。また、Microsoft 365の一環として他サービスと連携した脅威インテリジェンスの活用や、継続的なセキュリティアップデートも実施されます。具体的な導入事例では、不正な添付ファイルの検知・遮断や、社内外ユーザーへのセキュリティ教育にもつながるケースがあります。Defenderの活用で、情報漏洩やサイバー攻撃による被害リスクを大幅に低減できます。

バックアップとリカバリ

バックアップとリカバリの仕組みで、万一のデータ損失時にも迅速な復旧を実現できます。

効果的なバックアップ方法

SharePoint Onlineのバックアップ対策として、自動バックアップ機能と定期バックアップ運用を併用する方法がおすすめです。管理者は、重要なドキュメントやサイトコレクション単位で定期バックアップスケジュールを設定し、万が一のトラブル時には迅速な復旧が可能となります。さらに、バージョン管理機能を活用することで、変更履歴から過去のデータを簡単に復元できます。バックアップデータは暗号化を施し、情報漏洩リスクも軽減します。万全なバックアップ体制は、事業継続計画やコンプライアンス対応にも役立ち、企業データの保護と業務効率の向上につながります。

迅速なリカバリ手順

SharePoint Onlineでデータ損失が起きた際、迅速なリカバリ手順を把握しておくことが重要です。まず、サイト管理画面から「削除済みアイテム」や「バージョン履歴」を利用し、誤って消したファイルや前の状態に復元します。Microsoft 365管理コンソールを活用すれば、広範囲なデータ復旧操作も迅速に行えます。複雑な障害時には、バックアップから自動または手動でデータリストアが可能です。また、リカバリ作業の際にはデータ暗号化による二次被害防止策や、復旧後の監査ログチェックも忘れてはいけません。これらの流れを社内で共有・教育し、万一の事態でも冷静に対応できる体制づくりが大切です。

ユーザー教育の重要性

SharePoint Onlineのセキュリティ対策では、技術面だけでなくユーザー教育が非常に重要です。情報漏洩や意図しない権限付与、危険なファイル操作など、人的ミスがセキュリティリスクとなるケースは少なくありません。定期的なセキュリティ研修や社内ガイドラインの周知によって、ユーザーが正しい操作方法やリスク意識を身につけられます。また、多要素認証やウイルス対策の利用方法、監査ログの確認手順などを具体的に教育することで、全社的なクラウドセキュリティ意識の向上につながります。IT管理者やセキュリティ担当者は、理解度チェックやフィードバックの仕組みを活用し、継続的な教育体制の構築をおすすめします。

自社の要件に合わせてSharePoint Onlineを安全に利用するために


本稿では、Microsoft SharePoint Onlineのセキュリティ対策としてデータ保護、アクセス権限管理、多要素認証、監査ログ、ウイルス対策、バックアップとリカバリ、ユーザー教育の重要性を解説しました。クラウドセキュリティへの意識を高め、情報漏洩を防ぎながら効率的な業務運用ができるよう、具体的な手法も押さえておくことが重要です。

丸紅I-DIGIOグループでは、Microsoft SharePoint Onlineを含むMicrosoft 365の利用環境を情報セキュリティの観点から評価し、課題と必要な対策を明確にご提案するサービス「せきゅ丸 for Microsoft 365」を提供しています。本サービスは、お客様に評価ツールを実行していただくだけで、収集したデータをもとに当社コンサルタントが詳細なレポートを作成し、ご報告します。これにより、自社のセキュリティ課題を可視化し、今後取るべき具体的な対策を明確に把握できます。

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