能動的サイバー防御とは?その意義と具体策を解説

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サイバー攻撃の手法が高度化・複雑化を極める今、従来の「受動的な防御」だけでは基幹インフラや重要資産を守り抜くことは困難になりつつあります。

本稿では、現在、導入に向けて議論が進められている「能動的サイバー防御」について、その定義から最新の法整備状況、具体的な実践策までを網羅的に解説します。次世代のセキュリティ水準を理解し、組織の強靭性を高めるための指針としてご活用ください。

能動的サイバー防御とは?

能動的サイバー防御とは、従来の受動的対策にとどまらず、サイバー攻撃に先手を打つ積極的なセキュリティ戦略を指します。

能動的サイバー防御は、サイバー攻撃に対してただ守るだけでなく、攻撃者の動きを事前に察知し予防措置を講じる戦略型のセキュリティ対策です。一般的なファイアウォールやアンチウイルスといった受動的な防御ではなく、脅威情報の収集、攻撃経路の遮断、マルウェアの拡散前制圧、必要に応じた攻撃インフラの無害化までを含みます。近年は基幹インフラ事業者やITベンダーだけでなく、電気通信事業者、官民連携も含めた幅広い領域で導入に向けて政府内で具体的な検討と法整備の議論が加速しています。背景にはグローバルなサイバー攻撃トレンドの変化と、国際的なセキュリティ強化への流れがあります。

サイバー攻撃が巧妙化・多様化する現在、事前の予防措置と迅速な攻撃インフラの無害化が不可欠です。

サイバー攻撃の目的は、金銭の獲得から国家インフラの妨害、情報漏洩や産業スパイまで多岐にわたります。近年ではランサムウェアや標的型攻撃、サプライチェーンを悪用した攻撃といった新たな脅威も増加しており、従来の防御だけでは十分な対応が難しくなっています。たとえば、基幹インフラを狙った攻撃では、単なる被害の拡大だけでなく、社会全体の混乱や信頼低下をもたらします。攻撃手法の高度化により、攻撃を未然に察知し、被害が出る前に能動的に対処するアプローチが求められるようになりました。

米国をはじめ他国では、国家主導で能動的サイバー防御の重要性が高まっています。特に米国では、重要インフラ事業者やITベンダーに対するサイバーセキュリティ基準が強化され、官民連携による即応体制の整備が進んでいます。ヨーロッパ連合やアジアの先進国でもサイバー攻撃対策の法整備や情報共有体制の拡充が見られ、各国の政策はグローバルなサイバーセキュリティトレンドに影響を与えています。このような国際的な動向が、日本国内の基幹インフラや電気通信事業者、ITベンダーにも対応を加速させる要因となっています。

情報収集や予兆検知、攻撃サーバの特定・排除、さらには官民連携強化が主な施策となります。

情報収集は能動的サイバー防御の第一歩です。インシデント発生前にネットワークの挙動や不審な通信パターン、脅威インテリジェンスを積極的に収集・分析し、サイバー攻撃の予兆を早期に検知します。たとえば、AIによる異常検知技術やビッグデータ解析を活用することで、未知の脅威や標的型攻撃の兆候を迅速につかめます。これにより、通常のセキュリティ対策で見落としがちな異常にも早期に対処でき、基幹インフラやITベンダーの防御力を高めます。定期的なログ監査や外部情報との突合も重要です。

攻撃サーバの特定は、実際にサイバー攻撃を仕掛けてくるインフラや端末を突き止める作業です。IPアドレスや通信の挙動から攻撃元を分析し、脅威度の高いサーバやボットネットコントローラを割り出します。特定した攻撃サーバに対してはネットワーク遮断やアクセス制限の措置を実施し、不正な通信経路を即座に遮断します。さらに、インシデント発生後には詳細なフォレンジック調査を行い、再発防止策の強化も進められます。官民連携による情報共有も実効性を高めるポイントです。

能動的サイバー防御を推進するには、官民一体となった協力体制の構築が不可欠です。政府や自治体、基幹インフラ事業者、電気通信事業者、ITベンダーがサイバー攻撃の最新情報や予兆を共有し合うことで、広範な防御網が形成されます。国内外の脅威インテリジェンスを共有するために、連絡会や情報共有プラットフォームの活用が進み、効果的な官民連携が実現します。また、緊急時の即応訓練や共同シミュレーションも重要です。このような協力体制が高いセキュリティ信頼度につながります。

未然防止力の強化や、組織全体のセキュリティ信頼度向上といった大きな利点があります。

能動的サイバー防御を導入することで、サイバー攻撃を未然に防ぐ体制が整います。事前の情報収集や予兆検知によって、攻撃が発生する前にリスクを把握し、必要な予防措置を実行することが可能です。その結果、被害の発生や拡大を最小限に抑えることができ、日常の業務や社会インフラの継続性も保たれます。このアプローチは特に基幹インフラ事業者や電気通信事業者にとって有効な対策です。

能動的サイバー防御の実践は、組織全体のセキュリティ信頼度を高める効果があります。攻撃発生時には迅速な対応が可能な体制を構築することで、取引先や顧客、社会からの信頼を維持しやすくなります。また、法令やガイドラインに準拠した対応策を取り入れることにより、社会的責任の履行と同時にブランド価値の向上も実現します。長期的には、組織そのものの競争力強化にもつながります。

法整備や技術力の向上、権限付与や国際協調など、さまざまな課題があります。

能動的サイバー防御を推進する際に直面するのが法整備と憲法上の課題です。たとえば、通信の秘密やプライバシー保護との兼ね合いから、通信の傍受や監視の合法性を担保する法的枠組みが必要になります。現行法だけでは新たな攻撃手法や迅速な対処に十分対応できない場合も多いため、適切な法律改正が求められます。また、国民や関係事業者の理解と信頼を得ながら安全保障と個人の権利をバランスよく保つ視点も不可欠です。

最新のサイバー攻撃手法に対処するためには、継続的な技術革新と人材育成が欠かせません。AIやビッグデータ解析など先進的な技術の導入、既存環境への迅速な適用が求められます。同時に、基幹インフラや電気通信事業者など多様な環境に対応できる柔軟な防御アーキテクチャの設計も重要です。サイバー攻撃の複雑化に伴い、技術的課題と運用面の課題を同時に克服する必要があります。外部ベンダーや海外企業との技術協力も視野に入れるべきです。

能動的サイバー防御のために政府に広範な権限を与えた場合、個人情報や企業秘密の過度な監視につながる懸念があります。政府の介入範囲を適切に設定し、透明性や説明責任を確保することが社会的な信用維持に不可欠です。一方で、非常時の迅速な対応や基幹インフラ防衛には一定の権限強化も必要となるため、適切なバランスと法的根拠の明確化が求められます。この課題は国際的にも議論されており、社会全体での合意形成がカギとなります。

サイバー攻撃は国境を越えて行われるため、他国との協調が必須です。しかし関係各国ごとに法制度やセキュリティレベルが異なり、情報共有や協力体制の構築に多くの障壁があります。加えて、国家間の対立や価値観の違いが連携を複雑にしている現状があります。国際的なガイドラインや枠組み作りが進行中ですが、共通基準の策定や実効性確保にはまだ時間がかかる見通しです。

本稿では能動的サイバー防御の意義や施策、課題、そして最新動向について詳細にご紹介しました。今後もサイバー攻撃の高度化に備え、予防措置や官民連携、基幹インフラを意識したセキュリティ強化がますます重要です。

丸紅I-DIGIOグループは、能動的サイバー防御の概念と親和性の高いソリューションとして、企業内外やサプライチェーンに潜む脅威を検知・調査・抑止するサイバーセキュリティサービス「BlueVoyant Digital Risk Protection」を提供しています。

本サービスを活用することで、安全にフィッシングサイトを特定し、迅速にドメイン管理会社への削除依頼(テイクダウン)を講じることが可能となるため、ビジネスや顧客に影響が及ぶ前にリスクを排除できます。

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