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なりすましとは
なりすましとは、他人や企業になりすまして、不正な行動や取引を行うことです。たとえば、本人のID・パスワードなどの情報を盗み、実際の利用者かのようにログインするケースが多く見られます。この行為は不正アクセスやフィッシング詐欺をはじめとするサイバー犯罪の温床になっており、個人情報や企業データの漏洩、金銭的被害につながる危険性があります。また、SNSなどでは第三者によるアカウント乗っ取りや偽プロフィールが拡散される事例も多発しています。なりすましはオンライン活動に関わるすべてのユーザーが意識すべき重大な問題です。
なりすまし対策が重要な理由
なりすましへの対策は、プライバシー保護や金銭的被害の防止、社会的信頼の維持に直結します。
プライバシーの侵害を防ぐため
なりすましは個人情報や企業情報が不正に利用される危険性を持っています。たとえばSNSやメールアカウントなどを乗っ取られると、本人や関係者のプライバシーが深刻に侵害される恐れがあります。フィッシング詐欺や不正アクセスによって取得された情報は、第三者による悪用につながるため、日常生活や業務で大きな影響を及ぼします。
社会的信頼を維持するため
なりすまし被害は、企業や個人のイメージや信用にも大きな影響を及ぼします。不正アクセスによる情報漏洩や、SNSでのなりすましなどが発覚すれば、関係者や取引先からの信頼を損なう恐れがあります。また、評判の低下は金銭的被害や顧客流出のリスクにも直結します。組織全体でなりすまし対策を徹底することで、企業活動の安定や長期的なブランド価値の維持につながります。
金銭的被害を回避するため
なりすまし被害により、口座からの不正送金やオンラインサービスの不正利用など、実際の金銭的損失が発生する事例が増えています。金融機関への不正アクセスや証券口座の乗っ取りが起こると、莫大な金銭的被害が生じる危険があります。多要素認証の導入やID・パスワードの見直し、ソフトウェアアップデートを怠らないことが、こうした被害回避のために不可欠です。
なりすましの被害事例
実際のなりすまし被害事例から、対策の重要性を理解することができます。
事例1. 証券口座乗っ取り
証券会社の口座乗っ取りは、近年深刻ななりすまし被害の一つとして話題となっています。複数の証券会社にて、不正アクセスによる第三者によるログインが発生し、顧客の資産が不正に運用されたり、現金が無断で引き出される事態が起きました。攻撃者はID・パスワードをリスト攻撃やフィッシング詐欺で取得し、追加認証を突破したケースも報告されています。このような事件は多要素認証の導入やブラックリスト管理、定期的なソフトウェアアップデートの重要性を示しています。被害を未然に防ぐためには、利用者自身もセキュリティ意識を高める必要があります。
事例2. メールサーバーへの不正アクセス
ある公共機関では、メールサーバーへの不正アクセスによるなりすましが発生し、個人情報や医療情報が流出するという重大な被害を受けました。不正アクセス手法としては、管理者アカウントへのパスワード推測や、ソーシャルエンジニアリングなどが使われた可能性があります。この事件により、社内セキュリティ教育の徹底、多要素認証の導入、メールセキュリティ強化、またサーバーソフトウェアの定期的なアップデートがいかに重要であるか再認識されました。こうした事例から、組織規模を問わずなりすまし対策の必要性を学ぶことができます。
なりすましによる不正アクセスの手口
なりすましは、フィッシング詐欺やリスト攻撃など多様な不正アクセス手法が使われます。
フィッシング詐欺
フィッシング詐欺は、なりすましによる不正アクセスで最も多い手口のひとつです。攻撃者は偽のメールやウェブサイトを用意し、利用者を騙してID・パスワードなどの認証情報を入力させます。メールセキュリティが不十分な場合、こうした偽メッセージの判別が困難になり、個人や企業のプライバシー保護に大きなリスクとなります。フィッシング詐欺対策としては、送信元アドレスの確認、セキュリティツールによる警告の活用、多要素認証の設定が効果的です。近年は手口が巧妙化しているため、従業員への社内セキュリティ教育も重要視されています。
リスト攻撃
リスト攻撃は、流出したID・パスワード情報の組み合わせを大量に試すことで他のサービスへの不正アクセスを可能にする手口です。多くのユーザーは同じパスワードを使い回していることも少なくなく、攻撃者は「パスワードリスト」を利用して複数のサイトに侵入を試みます。
総当たり攻撃(ブルートフォースアタック)
総当たり攻撃(ブルートフォースアタック)は、あり得るすべてのID・パスワードの組み合わせを機械的に試すことでアカウントへの不正アクセスを狙う手法です。手間はかかりますが、パスワードが短かったり単純な場合は突破される確率が高くなります。
ソーシャルエンジニアリング
ソーシャルエンジニアリングは、技術的な手法よりも人間の心理や行動につけこみ情報を得る方法です。たとえば電話やメールで関係者を装い、社内情報や認証情報を聞き出すケースがあります。フィッシング詐欺と連携する場合もあり、プライバシー保護や社内セキュリティ教育の徹底が欠かせません。複数の従業員が被害に遭うこともあるため、セキュリティ意識の向上と定期的な教育が重要です。
なりすましを防ぐための具体的な対策7選
なりすまし予防には、複数の実効性ある対策を組み合わせて実施することが大切です。
対策1. ブラックリスト管理(監視)を行う
ブラックリスト管理は、不正アクセスを繰り返すIPアドレスやアカウント情報を検知し、システム的に遮断する対策です。定期的な監視や自動検知サービスの導入により、リスト攻撃や総当たり攻撃の試行を即座に察知できます。企業では社内システムやネットワーク機器にブラックリスト機能を搭載することで、なりすまし被害のリスクを大幅に減らせます。さらに、監視を強化することで疑わしいアクティビティを早期報告できるため、迅速な対応が可能となります。多層的な防御を実現し、日々の企業活動を安全に保ちましょう。
対策2. 多要素認証を取り入れる
多要素認証は、なりすましを予防するための強力なセキュリティ対策です。従来のID・パスワード認証だけでなく、スマートフォンの認証アプリやメール認証、指紋・顔認証などを組み合わせて本人確認を行います。これにより、万一パスワードが流出しても、追加認証が突破されなければ不正アクセスを防げます。金融機関やSNS、企業のシステムにも多要素認証の導入が進んでいます。
その他、フィッシング耐性のある認証方式であるパスキーなどの導入が有効です。
対策3. ソフトウェアやアプリケーションのアップデートを行う
ソフトウェアやアプリケーションのアップデートは、なりすまし対策の基本です。セキュリティホールが発見された場合、開発元は速やかに修正パッチを提供しますが、それを適用せず旧バージョンのまま利用すると、攻撃者の格好の標的となります。特に業務用ソフトウェアやサーバーのアップデートを怠ることで、不正アクセスやフィッシング詐欺の被害が拡大する恐れがあります。定期的なアップデートを社内で徹底し、システムの脆弱性を解消しましょう。企業では専任担当者による監督体制や自動アップデート機能の活用も安全性向上に役立ちます。
対策4. ID・パスワードを定期的に見直す
ID・パスワードの定期的な見直しは、なりすまし対策に必須です。使い回しや簡易的なパスワードの設定はリスト攻撃や総当たり攻撃に弱いため、英数字や記号を交えた複雑な認証情報を設定しましょう。第三者へ推測されにくくする工夫や、パスワード管理ツールによる定期変更の徹底も重要です。企業内ではパスワードポリシーを策定し、従業員の管理対象アカウントごとに安全性を定期評価することが求められます。
対策5. 社内でのセキュリティ教育を徹底する
社内セキュリティ教育の徹底は、なりすまし対策の根本であり効果的です。なりすましの手口や最新の攻撃トレンド、不正アクセスやフィッシング詐欺への警戒ポイントなどを定期的に全従業員に共有することで、個人レベルでの意識が高まります。情報漏洩やパスワード管理への注意喚起を怠らないことが、組織全体のプライバシー保護や金銭的被害回避につながります。セミナーやeラーニング、研修プログラムを活用し、分かりやすく学びやすい教材で現場力を強化しましょう。教育が徹底されることで、社内の不正リスクが大幅に低減します。
対策6. 不正検知サービスを導入する
不正検知サービスは、AIや最新技術を活用しリアルタイムで不正アクセスやなりすましの兆候を監視できるソリューションです。WAFやBot対策製品にあたります。アクセス履歴や異常なパターンを自動解析し、疑わしい行動を早期に警告します。企業ではメールセキュリティやWeb認証の監視、ブラックリスト管理とも連携して活用することで防御力を大幅に高めることが可能です。大小規模を問わずコストパフォーマンスに優れたサービスが登場しており、導入しやすくなっています。なりすまし被害を未然に防止し、安心して業務やサービスを運営するために積極的に検討しましょう。
なりすまし対策を徹底し、被害を未然に防止する
本稿では、なりすまし対策の基本から最新の対策方法までを解説しました。プライバシー保護や金銭的被害の回避、社会的信頼の維持が求められています。
対策のポイントは自社がお客様に提供しているシステムの認証強化です。たとえば、パスキーを含めたフィッシング被害を抑制できる認証要素の導入に加え、なりすましの監視を強化する必要があります。
丸紅I-DIGIOグループは、なりすまし監視を強化し、無制限のテイクダウン対応が可能なソリューションとして、企業内外やサプライチェーンに潜む脅威を検知・調査・抑止するサイバーセキュリティサービス「BlueVoyant Digital Risk Protection」を提供しています。本サービスを活用することで、フィッシングサイトを早期に特定し、迅速な対策を講じることが可能となるため、ビジネスや顧客に影響が及ぶ前にリスクを排除できます。
ご興味をお持ちいただけましたら、ぜひお気軽にお問い合せください。
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