フィッシング攻撃とは?最新事例や対策を徹底解説 

キーワード | 更新:

インターネットの普及とともに、私たちの生活はますます便利になりましたが、その一方でサイバー犯罪も巧妙化しています。中でも「フィッシング攻撃」は、詐欺師が個人情報や財産を不正に入手する代表的な手口として知られています。本稿では、フィッシング攻撃の基礎知識や具体的な手法、そして被害を防ぐための有効な対策について分かりやすく解説します。

まずは情報収集がしたい方

相談内容は決まっていないが、まずは提案を聞いてみたい等、
お気軽にご相談ください。

フィッシング攻撃とは 

フィッシング攻撃とは、悪意のある第三者がユーザーの個人情報や金融情報を盗むことを目的として行う詐欺行為です。通常、信頼できる組織や個人を装った偽のメールやウェブサイトを利用して、ユーザーから情報を引き出そうとします。メールやメッセージの中には、リンクをクリックするよう促す内容が含まれており、そのリンクをクリックすると偽のウェブサイトに誘導されることが多いです。 

フィッシング攻撃は、サイバー攻撃の中でも非常に効果的で、多くの被害者が実際に情報を提供してしまうケースが後を絶ちません。特に金融機関やeコマースサイトを装ったフィッシング攻撃が多く見られ、これらのサイトを利用しているユーザーは特に注意が必要です。 

現代のインターネット環境では、フィッシング攻撃の手口はますます巧妙化しており、単なるメールに留まらず、SMS(ショートメッセージ)や電話を使った手法も確認されています。それぞれスミッシングやビッシングと呼ばれ、特定の人物をターゲットにするスピアフィッシングも増加しています。 

このような攻撃から身を守るためには、常に警戒心を持ち、未知のリンクや添付ファイルを不用意に開かないこと、また信頼できるセキュリティツールを使用することが重要です。 

フィッシング攻撃の主な手法

フィッシング攻撃には多くの手法がありますが、最も一般的なものとしてフィッシングメールがあります。これは、正規の企業やサービスを装ったメールを送り、受信者から個人情報を取得しようとする手法です。その他に、SMSメッセージを利用するスミッシングや、特定の個人や組織を狙うスピアフィッシング、電話を利用するビッシングなどがあります。これらの手法は、それぞれ別々の手段を利用するものの、最終的な目的は同じであり、被害者から重要な情報を騙し取ることです。 

1.フィッシングメール

フィッシングメールは、インターネット上で行われる詐欺の一種です。フィッシング攻撃者は、信頼できる組織や個人を装ってメールを送信し、受信者から個人情報や財務情報を不正に取得しようとします。この手法は一般的なサイバー攻撃として広く知られています。 

フィッシングメールの内容は、リアルなものに見せかけるために企業ロゴや公式のリンクが含まれていることが多く、受信者に疑わないように巧妙に設計されています。たとえば、銀行やeコマースサイトなどの公式メールを装い、アカウント情報の更新や確認を求めるものが一般的です。このようなメールが届いた場合には、リンクをクリックせず、公式サイトに直接アクセスして内容を確認することが重要です。 

特に企業内の従業員がフィッシングメールに引っかかると、企業全体のセキュリティリスクが高まるため、定期的なトレーニングや啓蒙活動が不可欠です。 

2.スミッシング(SMSフィッシング) 

スミッシングは、SMS(ショートメッセージサービス)を利用したフィッシング詐欺の一種です。不審なリンクが含まれたメッセージを受信者に送信し、クリックさせることで個人情報を不正に取得します。この手法は、モバイルデバイスの普及に伴い被害が増加しています。 

具体的な例としては、「銀行口座のセキュリティ確認のため、こちらのリンクをクリックしてください」というメッセージがあります。リンクをクリックすると、銀行の公式サイトに似せた偽サイトに誘導され、情報を入力させる手口です。 

スミッシングを防ぐためには、送信元の信憑性を確認することが重要です。公式な連絡手段であるかを再確認し、不審なメッセージは開かないよう注意しましょう。また、セキュリティソフトをインストールし、スマートフォンのセキュリティを強化することも有効です。 

3.スピアフィッシング

スピアフィッシングは、特定の個人や組織をターゲットにしたフィッシング攻撃の一種です。通常のフィッシング攻撃が多数の無差別な対象に行われるのに対して、スピアフィッシングは特定の人物や団体に焦点を当て、精度を高めた攻撃を仕掛けます。 

この手法では、攻撃者はターゲットの個人情報や職場の情報を予め収集し、信憑性の高いメールやメッセージを作成します。その結果、ターゲットはこのメッセージが信頼できるものであると誤認し、リンクをクリックしたり、機密情報を提供してしまうことが多いです。具体的な例として、会社の上司を装ったメールで重要な書類の提出を求めるケースが挙げられます。 

スピアフィッシングの被害を防ぐためには、社員や個人が常に最新のセキュリティ情報に通じ、メールの送信元や内容を慎重に確認する習慣を身につけることが重要です。 

4.ビッシング(ボイスフィッシング) 

ビッシング(ボイスフィッシング)は、電話を通じて個人情報や金融情報を詐取する詐欺手法です。攻撃者は、金融機関や政府機関、さらには知人を装い、信憑性の高い情報を利用してターゲットをだまします。たとえば、偽のカスタマーサポートを名乗り、銀行口座の検証やパスワードのリセットが必要であると伝え、個人情報を盗もうとします。 

このような詐欺に巻き込まれないためには、一見正規の連絡に見えても、慎重に情報を確認し、特に個人情報や金融情報の提供を求められた場合は一度立ち止まり、正規の連絡先を通じて確認することが重要です。身近な事例では、顧客サービスセンターに直接電話することや、公式ウェブサイトから直接問い合わせることで、詐欺被害を未然に防ぐことができます。 

最新のフィッシング攻撃の事例

ここ数年で、フィッシング攻撃はますます巧妙化してきています。特に最近の事例では、金融機関やeコマースサイトが主要なターゲットとなっています。以下の事例を紹介することで、どのようにして攻撃が行われたか、またそれに対する対策を考えるきっかけにしていただければと思います。 

最新のフィッシング攻撃の事例を知ることは、攻撃者の手口を理解し、適切な防御策を講じるために不可欠です。次節では具体的な事例を2つ紹介します。 

1.金融機関を狙ったフィッシング

金融機関を狙ったフィッシング攻撃は、最も頻繁に発生するタイプの一つです。この手法では、攻撃者は正規の金融機関を装ったウェブサイトやメールを使って、ユーザーの個人情報や口座情報を盗み取ろうとします。たとえば、ある大手銀行のロゴを無断で使用した偽のログインページが作られ、ユーザーがそのページに情報を入力することで、攻撃者に情報が送信されるという手口です。 

また、最近の事例では、銀行からの公式通知を装ったSMSメッセージやメールを送信し、ユーザーを偽のウェブサイトに誘導する手口も増えています。これにより、ユーザーは偽のセキュリティチェックのために個人情報を入力させられることがあります。多くの場合、このような攻撃は特定の金融機関のユーザーを標的にし、被害は甚大です。 

このようなフィッシング攻撃に対処するためには、常に公式の通信チャネルを利用し、不審なメールやSMSに記載されたリンクをクリックしないようにするなどの対策が重要です。ユーザー教育とともに、金融機関側もセキュリティ強化を進めることが求められます。 

2.eコマースサイトを利用したフィッシング

近年、eコマースサイトを利用したフィッシング攻撃が増加しています。攻撃者は、正規のeコマースサイトに似せた偽のウェブサイトを作成し、ユーザーを誘導することで個人情報やクレジットカード情報を盗み取ります。ユーザーは、偽のログインページに気づかずに情報を入力してしまうことが多いです。 

具体的な事例として、ある大手オンラインショップを装ったフィッシングサイトが発見されました。そのサイトは、メールやSNSを通じて偽のセール情報を拡散し、リンクをクリックしたユーザーを偽サイトに誘導しました。ユーザーが入力した情報は、即座に攻撃者に送信され、大規模な個人情報流出事件となりました。 

このような攻撃に対抗するためには、ユーザーはURLを十分に確認し、不審なリンクをクリックしないことが重要です。また、eコマースサイト運営者は、セキュリティ強化のために定期的な監視とフィッシング対策ツールの導入を検討すべきです。 

フィッシング攻撃による主なリスク 

フィッシング攻撃は、個人や企業に対して非常に深刻なリスクをもたらします。その主なリスクは以下の通りです。 

一つは、金銭的な損失です。フィッシング攻撃により、個人情報や金融情報が不正に取得され、それが直接的な金銭被害に繋がることがあります。たとえば、銀行口座やクレジットカードの情報が盗まれた場合、身に覚えのない支払いが発生する危険性があります。 

次に、個人情報の漏洩です。フィッシングメールや悪意のあるウェブサイトを通じて、名前や住所、電話番号などの個人情報が収集されることがあります。この情報は、さらなる詐欺や不正利用に悪用される可能性があります。 

さらに、企業にとって重大なリスクはブランドの信頼性失墜です。フィッシング攻撃により顧客の情報が漏洩することは、企業の信用を大きく損なうことになります。この結果、顧客離れやビジネスへの影響が避けられなくなり、長期的な経済的損失が発生することがあります。 

また、企業の内部情報の流出も大きなリスクです。社員のメールアカウントやシステムへの不正アクセスが行われることで、機密情報や重要なデータが流出するリスクが高まります。これにより、業務の円滑な運営や競争優位性が損なわれる可能性があります。 

最後に、法的リスクです。顧客情報の漏洩や不正利用が発生した場合、企業は法的責任を問われ、罰金や賠償義務が発生することがあります。これにより、さらなる経済負担が生じることになるのです。 

これらのリスクを軽減するためには、日頃からフィッシング攻撃に対する防御策を講じ、適切な情報管理を心掛けることが重要です。 

フィッシング攻撃の予防と対策

フィッシング攻撃の被害を未然に防ぐためには、予防と対策が重要です。企業と消費者の両方が適切な手段を講じることで、被害を大幅に減少させることができます。 

一般的な予防策には、セキュリティ意識の向上やソフトウェアの最新化が含まれます。セキュリティ意識の向上には、定期的な教育やトレーニング、疑わしいリンクやメールアドレスへの警戒が必要です。ソフトウェアの最新化については、ウイルス対策ソフトやファイアウォールの導入と更新が効果的です。 

さらに、二要素認証やフィッシング対策ツールの導入も推奨されます。これにより、不正ログインのリスクを減少させ、被害を未然に防ぐことができます。たとえば、金融機関では二要素認証を義務付けている場合があります。このような対策を導入することで、フィッシング攻撃からの防御力が高まります。 

企業においては、定期的なセキュリティ評価や従業員の意識向上プログラムを実施することが重要です。また、インシデント発生時の迅速な対応も求められます。顧客へのフィッシング詐欺の警告メールの配信や、被害者のサポート体制の強化も重要です。 

消費者についても、メールやウェブサイトの正当性を確認する習慣をつけることが大切です。たとえば、フィッシングメールの見分け方や安全なウェブサイトの確認方法を学ぶことで、被害を未然に防ぐことが可能です。 

これらの対策を実践することで、企業と消費者の双方がフィッシング攻撃からの被害を効果的に予防し、セキュリティ意識を高めることができるのです。 

企業が実施すべき対策

企業がフィッシング攻撃から自社と顧客を守るためには、いくつかの重要な対策を講じる必要があります。まず、社員に対して定期的なセキュリティ教育を行うことが欠かせません。フィッシングメールの特徴や具体的な被害事例を学び、警戒心を高めることが求められます。 

次に、フィッシング対策ツールの導入が有効です。これらのツールは、不正なメールやウェブサイトを検出し、社員が誤ってアクセスしないように防ぐことができます。実際に多くの企業で採用されており、高い効果が確認されています。 

さらに、セキュリティポリシーの徹底と継続的な見直しも重要です。例として、メールのフィルタリング設定や、多要素認証の導入などが挙げられます。これらの対策を行うことで、フィッシング攻撃のリスクを大幅に低減させることが可能です。

そして、ブランドの信頼性を保つため、自社の顧客を守るための対策も必要です。 

フィッシングサイトを見つけ出し、テイクダウン(削除)する。これにより、フィッシングサイトで被害にあう人を最小限に留めることができます。ついては、貴社のブランドの信頼性を保つことができます。 

もしご自身がフィッシングで騙されそうになった、または被害に遭った場合、対象のサービスや製品に対する印象が悪くなることは間違いありません。ブランド保護は重要です。 

1.セキュリティ意識向上のトレーニング

セキュリティ意識向上のトレーニングは、フィッシング攻撃への対策として不可欠です。まず、従業員一人ひとりがサイバーセキュリティの基本的な概念を理解することが求められます。これには、フィッシングメールを見分けるスキルや、不審なリンクをクリックしない意識が含まれます。 

実践的な訓練も効果的です。たとえば、模擬フィッシング攻撃のシミュレーションを行うことで、実際に攻撃が発生した際の反応を確かめることができます。また、最新のフィッシング手法やトレンドに関する情報を定期的に共有することも重要です。 

トレーニングの一環として、従業員が疑わしいメールやウェブサイトを見つけた場合に迅速に報告する手順を確立し、報奨制度を導入することで、セキュリティ意識をさらに高めることが可能です。 

2.フィッシング対策ツールの導入

フィッシング攻撃から企業を守るために、フィッシング対策ツールの導入が極めて重要です。これらのツールは、自動的にフィッシングメールを検出し、従業員の受信箱に届く前に削除する機能や、怪しいリンクをブロックする機能を持っています。具体的には、メールフィルタリング、ウェブフィルタリング、セキュリティ情報とイベント管理(SIEM)などがあります。 

たとえば、メールフィルタリングソフトウェアは、受信メールの内容を分析し、フィッシングメールの特徴を持つメッセージを自動的に隔離します。このようなツールを導入することで、従業員が誤ってフィッシングメールを開くリスクを大幅に減少させることができます。また、ウェブフィルタリングツールは、危険なウェブサイトへのアクセスを防ぐことで、悪意のあるリンクからの感染を防ぎます。 

さらに、SIEMソリューションは、企業全体の異常な活動をリアルタイムで監視し、迅速に対応できるようにします。これにより、フィッシング攻撃が検出された場合に即座に対策を講じることができます。最新のフィッシング対策ツールを導入することで、フィッシング攻撃からの防御力を高め、企業のセキュリティレベルを向上させることができます。 

企業がフィッシング攻撃防止に取り組む理由 

企業がフィッシング攻撃防止に取り組む理由は多岐にわたります。その主な要因として、顧客の情報保護と企業ブランドの信頼性維持が挙げられます。フィッシング攻撃を通じて顧客情報が漏洩することで、顧客に経済的な被害をもたらすだけでなく、企業に対する信頼も失われる可能性があります。 

さらに、法的責任を負うリスクもあります。個人情報保護法など、企業が守るべき法律に違反することになれば、重大な罰則や賠償金を求められることがあります。これにより、財政的な打撃を受けるだけでなく、企業の社会的評価も低下します。 

また、フィッシング攻撃による内部システムへの侵入や業務停止も懸念されています。これにより、業務のスムーズな運営が阻害され、生産性の低下やサービス停止による顧客離れが生じる可能性があります。このようなリスクを未然に防ぐために、企業はフィッシング攻撃防止に積極的に取り組む必要があるのです。 

戦略的なフィッシング攻撃防止策を

フィッシング攻撃は年々巧妙化しており、企業や消費者の両方がそのリスクに常に警戒する必要があります。これまで解説してきたように、予防と対策には具体的な取り組みが不可欠です。特に企業はセキュリティ意識向上のためのトレーニングや、フィッシング対策ツールの導入を進めるべきです。また、日常的に使用するメールやウェブサイトでも安全性を確認する習慣を身につけることが重要です。 

丸紅I-DIGIOグループでは、企業内部や外部、サプライチェーンに潜む脅威を検出・調査・軽減するためのサイバーセキュリティサービス「BlueVoyant Digital Risk Protection」を提供しています。本サービスを活用することで、フィッシングサイトの早期発見と迅速な防御策の実施が可能となり、自社のビジネスや顧客に影響が及ぶ前に脅威を排除することができます。

ご関心をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。 

BlueVoyant 資料ダウンロード

本記事に関連するソリューションの資料をダウンロードいただけます。

 

まずは情報収集がしたい方

相談内容は決まっていないが、まずは提案を聞いてみたい等、
お気軽にご相談ください。

Contactお客様の業態に合わせた
プランと料金をご案内しています。

「自社の業態でも導入できるか」「サービス仕様詳細」「コスト」など、
まずはお気軽にお問い合わせください。御社の課題解決のサポートをいたします。