目次
フィッシングサイトとは?
フィッシングサイトは、正規のサービスや企業になりすまして利用者を騙し、個人情報や認証情報を不正に取得する目的で作られた偽サイトです。近年は手口が巧妙化し、実際の企業サイトと見分けがつきにくいデザインやURLが使われています。被害者はメールやSNS、検索結果などを通じて誘導されることが多く、企業対策だけでなく個人レベルの注意も不可欠です。フィッシングサイトによる詐欺被害は金融機関やECサイトだけでなく、幅広い業界へ拡大しています。
テイクダウンとは何か?基本概念と効果
テイクダウンとは、インターネット上のフィッシングサイトを閉鎖する対策で、詐欺被害や個人を防ぐ効果が期待できます。
テイクダウンの対象(ドメイン/URL/ホスティング/コンテンツ)
テイクダウンの対象となるのは、主に詐欺目的で悪用されているドメイン、特定のURL、ホスティング環境、そしてWebページなどのコンテンツです。たとえば、企業のブランドロゴや正規サービスに似せたページが公開されているURLは、迅速に特定する必要があります。また、ホスティングサーバーに問い合わせてコンテンツ削除を依頼したり、ドメインレジストラに登録情報の調査や停止を求めたりする場合もあります。複数の要素が関係するため、テイクダウンではサイト構造や拡散経路を正確に把握することが効果的な対策の一歩となります。
閉鎖までの一般的な流れと所要時間
フィッシングサイトの閉鎖までには、サイトの早期検出から証拠保全、関係機関への連絡を経て、最終的にコンテンツの削除やドメイン停止が行われます。最初の報告からサイト閉鎖までは、数時間から数日かかるケースが多いです。国内外のドメインやホスティング事業者、場合によっては法的機関まで調整が必要なため、連絡の早さや証拠の正確性が大きなポイントです。早急に対処することで、企業対策や個人情報流出のリスクを大幅に軽減できます。
フィッシングサイトの見つけ方(検知・監視)
フィッシングサイトの検知には自社での監視や外部ツールを活用した早期発見が重要です。
ブランド監視・なりすまし検知ツールの活用
企業対策の観点から、ブランド監視ツールやなりすまし検知サービスの活用は効果的です。たとえば、企業名やロゴ、製品名をキーワード登録し、インターネット上の新規サイトやSNS投稿を自動で監視できます。これらのツールは、フィッシングサイトや悪意あるコンテンツの早期検出だけでなく、詐欺被害リスクの予防にも役立ちます。
社内通報・顧客報告の受け付け体制
企業対策の要として、従業員や顧客による社内通報や被害報告の受付体制を整備することが重要です。たとえば、専用の窓口メールアドレスや電話番号を設けたり、Webフォームでの受付システムを構築したりする事例が増えています。これにより、怪しいメールやサイトの情報が迅速に共有され、早期検出が可能となります。また、受付体制を明確に周知することによって、従業員・顧客の安心にもつながり、詐欺被害の広がりを食い止めることができます。社内研修や定期的な啓発活動も効果的です。
テイクダウンの準備(証拠保全と情報整理)
テイクダウン準備には証拠保全と情報整理が欠かせません。
スクリーンショット、HTTPヘッダー、WHOIS、ホスト情報の取得
フィッシングサイトのテイクダウンを行う際は、複数の証拠を確実に保全しておくことが重要です。まず、詐欺サイトのスクリーンショットを複数の画面で取得し、不正な表示内容を記録します。次に、HTTPヘッダー情報でアクセスの詳細やサーバ応答を保存します。また、WHOIS検索でドメインの所有者や登録情報を調べ、ホスト情報についてもIPアドレスや設置場所を確認します。これらの証拠は、後述するドメインレジストラやホスティング事業者への連絡や法的根拠として必須となります。
ログ保全と時刻証明のポイント
ログ保全は、関係機関への説明や証拠提出に不可欠です。サーバやアプリケーションのアクセスログ、通信ログなどを漏れなく保存し、詐欺被害拡大の経緯を明らかにします。また、時刻証明・タイムスタンプ付きのログ保存は、テイクダウン申請時に信頼性を高めるためのポイントです。改ざん防止の観点から、第三者機関の時刻証明サービスやブロックチェーンを活用する事例も増えています。企業対策としては、定期的にログ保全体制をチェックし、インシデント発生時の迅速対応を目指しましょう。
テイクダウンの具体的手順
テイクダウン手順には証拠提出、関係機関連絡、フォローアップが重要です。
ドメインレジストラ/レジストリへの連絡方法
ドメインレジストラやレジストリへのテイクダウン申請では、まず詐欺サイトに関する証拠やWHOIS情報を整理します。次に、各事業者の窓口やメールアドレスを確認し、英文が必要な場合は専門部署や外部支援サービスを活用します。申請時には、サイトが企業名やロゴを不正使用している実態や詐欺被害を具体的に説明し、削除依頼を行います。応答状況や対応経過は定期的に追跡し、進捗管理を徹底することで、企業対策の効果を高めることができます。
検索エンジン・ブラウザへの報告
GoogleやBingなどの検索エンジン、主要ブラウザは不正なフィッシングサイトの報告受付窓口を設けています。詐欺サイトのURL、ドメイン、スクリーンショット、説明文などを専用フォームから提出することで、該当ページが警告表示されたり検索結果から除外される場合があります。これは個人情報流出防止や被害拡大防止に非常に有効です。また、報告の際は被害状況や企業対策を明記し、速やかな対応を促すことがポイントとなります。定期的に報告状況を確認し、最新のセキュリティ対策に役立てましょう。
証拠提示と法的根拠
テイクダウン申請では、証拠提示と法的根拠の明示が求められます。スクリーンショットやアクセスログ、WHOIS情報などのデータを整理し、著作権侵害や商標権侵害、不正アクセス防止法など、日本国内外の関連法規を調査しましょう。企業対策としては、法務部門や外部専門家と連携し、法的裏付け資料を作成することが大切です。根拠が明確であるほど、ホスティング事業者やドメイン管理者からの対応速度が上がり、早期検出と迅速なサイト閉鎖が実現します。
追跡とフォローアップ
テイクダウン申請後も、被害拡大防止や再発防止のための追跡とフォローアップが不可欠です。まず、申請後の詐欺サイトのステータスや検索結果の変化、改変・再投稿の有無を継続的に監視します。被害者への追加情報提供や企業内での事例共有を行い、社内外でセキュリティ意識を高めましょう。また、新たなフィッシングサイトが出現した場合は早期検出を徹底し、テイクダウンの流れを繰り返すことでインターネット上のリスク低減につなげることができます。
テイクダウン実施の難しさと注意点
テイクダウンの実施には、複数国にまたがる詐欺サイトや匿名化サービスの利用など、技術的・法的な難しさがあります。海外のドメインレジストラやホスティング事業者は対応に時間がかかったり、証拠の提示方法が異なることもあるため、事前に情報収集を徹底しましょう。また、偽サイトの運営者が頻繁にコンテンツを変更したり、ドメイン名を切り替えたりする場合も多いため、継続的な早期検出や追跡が不可欠です。企業対策としては、社内外の連携を強化し、トラブル時の対策ガイドラインを整えることが重要です。さらには、サービス提供者側のポリシーが変更されると、同じように申請しても削除されなくなる場合もあります。常にサービス提供者側のポリシーをつかむ努力も必要です。
フィッシングサイトに素早く対応できる対策を
本稿では、フィッシングサイトの特徴からテイクダウンに至るまでの具体的な対策や流れ、証拠保全・情報整理などの重要なポイントを解説しました。セキュリティ意識を高め、インターネット環境での早期検出から迅速なテイクダウンまで対応できれば、企業や個人の詐欺被害・個人情報流出を最小限に抑えることが可能です。
丸紅I-DIGIOグループは、なりすまし監視を強化し、無制限のテイクダウン対応が可能なソリューションとして、企業内外やサプライチェーンに潜む脅威を検知・調査・抑止するサイバーセキュリティサービス「BlueVoyant Digital Risk Protection」を提供しています。本サービスを活用することで、フィッシングサイトを早期に特定し、迅速な対策を講じることが可能となるため、ビジネスや顧客に影響が及ぶ前にリスクを排除できます。
ご興味をお持ちいただけましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。
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