SPB – Shortest Path Bridgingとは?

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DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進、オンライン会議の日常化、そしてIoTデバイスの爆発的な増加。企業のITやDX担当者、経営層の皆様にとって、社内ネットワーク(ITインフラ)の重要性はかつてないほど高まっています。一方、ネットワークの重要度が高まるなか、急増するネットワークの侵害による情報漏えい、ランサム被害による事業停止など利便性高く整備したネットワークを攻撃者に活用されてしまい、被害規模が拡大することも懸念のひとつとなっています。

いよいよネットワーク機器の新設・リプレース、そこでネットワーク機器を検討する際、「Extreme Networks(エクストリーム ネットワークス)」というメーカーの提案書を目にし、ネットワーク仮想化のひとつである「SPB(Shortest Path Bridging ショーテスト パス ブリッジング)」という技術用語に初めて出会った方も多いのではないでしょうか。

「また新しい3文字の専門用語か……」と思われるかもしれません。しかし、SPBは単なるマニアックな技術用語ではありません。これは、複雑化しすぎた企業のネットワークを劇的にシンプルにし、運用コストを下げ、セキュリティを向上させるための「ネットワークの自動運転技術」と言い換えることができます。

「SPBとは何か? 従来技術のVXLANと何が違うのか?」

この疑問をお持ちで本記事へたどり着いた経営層・管理職のあなたに、なるべく分かりやすく答えをお渡しするためのものです。「DX化の課題を乗り越え、ITインフラの高度化で自社の成長を加速させたい」。その目標達成に繋がるよう、単なる用語解説にとどまらない「SPBの本質」を解説します。

そもそもSPBとは? 「通行止め」のない交通システム

SPB(Shortest Path Bridging)を理解するために、ネットワークを「道路」、情報を「車」に例えてみましょう。

従来の悩み:渋滞を防ぐための「もったいない通行止め」

道路の種類は多様です。本線に支線、多車線もあれば一方通行の一車線もあります。様々な道路(ネットワーク)があるので、ルールを決め「制御」しないと交通渋滞や交通事故が起きる原因になってしまいます。これは企業のネットワークも同じです。

目的地に向けて運転していたのに、いつまで経っても同じ風景、同じ道を走っている…どうやら道路がいつの間にか輪っかのようになっていて、同じ道を走らされているようです。この輪っか(ループ)には周りからどんどん車(情報)が入ってきて永遠に回り続け、大渋滞に大混乱。これがネットワーク機器同士をケーブルでつなぐ際の道が「輪っかになってしまう現象(ループ)」と呼ばれる事象です。

これまで長い間、企業のネットワークでは「スパニングツリー(STP: Spanning Tree Protocol)」というルールを使い、輪っか(ループ)が発生しないよう「あえて一部の道路を通行止めにする」という対策をとっていました。

これで輪っか(ループ)構造は回避し、大混乱は避けられるのですが通行止めにした道路はどうなるのでしょうか?実は普段は使うことができず、何か起きたときの「予備の道路(予備のネットワーク)」として眠らせておく必要がありました。

これ、非常にもったいないと思いませんか?予備の道路ではなく、日常的に利用できる近道として活用できると良さそうですよね。

SPBの革命:「高性能カーナビ」の導入

そこで、SPBはこの常識を覆しました。SPBが導入されたネットワークでは、すべての道路(ケーブル)を常に開放できます。 なぜなら、SPBはネットワーク全体が「すべての目的地への最短ルート(Shortest Path)」を知っているからです。

これは、すべての交差点間の経路・渋滞情報を収集し、AIカーナビと連動して最短経路を提供するようなものです。「A地点からC地点へ行きたい」という車(情報)が入ってくると、SPBは自動的に一番近くて空いている道を選んで案内します。 もし、ある道路で工事(ケーブル断線などの障害)が発生しても、瞬時にAIカーナビが情報を更新し、最短50ミリ秒という人間のまばたきの半分くらいの驚異的なスピードで別のルートへ迂回させます。私たちが車を運転しているときに目の前の渋滞や車線減少を認識したとしても瞬間的に車線やルートを変更することは難しいですが、SPBはこれをネットワーク上で実現しています。

以上がSPBの基本、「最短経路ブリッジング」です。無駄な予備経路を作らず、すべての資産を有効活用して障害に極めて強いネットワークを提供。これがSPBの第一の特徴です。

ライバル技術「VXLAN」との決定的違い

SPBについて調べると、必ずと言っていいほど比較されるのが「VXLAN(ブイエックスラン)」という技術です。多くのネットワーク機器メーカーで採用されているため、「VXLANの方がメジャーではないか?」「機能は同じではないか?」と比較・検討され悩まれる方が多いでしょう。

確かに、どちらも「物理的な配線の上に、自由な仮想ネットワークを作る」という目的は似ています。しかし、その「動かし方」には、「マニュアル車」と「全自動運転車」ほどの大きな違いがあります。なるべくフラットな視点で比較してみましょう。

VXLANとSPBの違い概略

VXLAN:高機能だが「乗り手」を選ぶマニュアル・スポーツカー

VXLANは非常に強力な技術であり、巨大データセンターでは標準技術となっています。しかし、VXLANを企業の社内LANで動かすには、VXLAN単体では機能せず、経路を制御するための複雑な仕組み(コントロールプレーン)を別途組み合わせて設定する必要があります。

例えるなら、「高機能でクールなスポーツカー(VXLAN)を買ったが、それを公道で走らせるには、スポーツカーと連携できる専用信号機を設置、さらに乗りこなす熟練技術を持ったプロドライバー(エンジニア)、そしてそれらに高度な連携が必要」というものです。設計・構築には高度なスキルを持ったエンジニアが必要となり、導入後の設定変更にも手間がかかります。これが「複雑」と言われる理由です。

SPB:エンジンに管制塔が組み込まれた「自動運転車」

一方、SPBは、ユーザー(管理者)は、「ここ(入口)からここ(出口)まで繋ぎたい」と指示するだけで、途中の経路制御やトンネルの作成は、SPBの規格自体が全自動で行います。

つまり、「目的地を入力すれば、あとはAIカーナビに任せておけばOK、高性能なAIカーナビが経路探索と道順の案内を行い、更には車のハンドルを勝手に切って連れて行ってくれる」状態です。 別途複雑な技術要素を組み合わせる必要がないため、設計ミスが起きにくく、エンジニアの負担が圧倒的に軽いのが特徴です。

VXLAN カスタマイズ性が無限大ゆえ、設計・構築・運用に高度な技術と工数が必要。 構築後の変更が少なく、専任のネットワーク管理者が居ると活用の幅が広い。 専門知識を必要とするため、トレーニングプログラムや資格などが豊富。
SPB導入したその日から自動化の恩恵を受けられ、運用がシンプル。 拡張やネットワーク変更が多い拠点では都度の対応に柔軟に適用可能。 利用者の負担が少ない分、特別な知識がいらないため情報が少ない。

カスタマイズ性と高機能が好まれるデータセンターでの標準技術となっているVXLAN、一般的な企業、病院、自治体、大学など、ネットワーク運用リソース(専任管理者)が限られている場所では、SPBの「シンプルさ」が圧倒的なコストメリットを生み出します。

経営判断としての「Extreme Networks & SPB」

技術的な仕組み以上に、決裁者にとって重要なのは「ビジネスにどう貢献するか」でしょう。Extreme Networks製品(SPB技術=Fabric Connect)を採用するメリットは、以下の3点に集約されます。

1.運用コストの劇的な削減

従来、ネットワークの設定変更(例:ネットワーク拡張・新機器追加等)を行う場合、ネットワークエンジニアはネットワークの端から端まで、すべての機器にログインして設定を変更する必要がありました。これを「ホップ・バイ・ホップ」の設定と呼び、作業ミスによる通信断のリスクと隣り合わせでした。
SPBでは、「エッジ(入口と出口のスイッチ)」だけを設定すれば完了します。中継するコア部分のネットワーク機器には一切触れる必要がありません。 「明日から新しいプロジェクトルームを作りたい」という要望に、数分で応えることができます。このスピード感と工数削減は、変化の激しい現代ビジネスにおいて強力な武器となります。

2.「ステルス・ネットワーク」によるセキュリティ向上

サイバー攻撃の多くは、一度社内ネットワークに侵入した後、内部を探索(スキャン)して次の標的を探します。 SPBで構築された仮想ネットワークは、技術の特性上、外部や許可されていないユーザーからは「道そのものが見えない」状態になります(ハイパーセグメンテーション)。
ハッカーが侵入しても、そこは暗闇で、隣の部署のサーバーや重要機密へのルートが見えません。IoT機器などが乗っ取られたとしても、被害をその区画だけに封じ込めることが容易です。SPBは、セキュリティアプライアンスを入れる以前の「インフラレベルでのセキュリティ」を担保します。

3.止まらないインフラ(レジリエンス)

冒頭で述べた通り、SPBは障害発生時の切り替えが人間には知覚できないほど高速です。 オンライン会議中にネットワークの一部が断線しても、障害を感じさせることなく会話を続けられます。病院や工場など、一瞬の停止も許されないミッションクリティカルな現場でSPB、Extreme Networksが選ばれ続けている理由は、この圧倒的な安定性にあります。
特に、経営戦略としてITインフラの事業継続計画(BCP: Business Continuity Plan)策定は重要な責務となっていますが、全てのITインフラをつなぐネットワークはどうでしょうか?ネットワークこそ、回復力(レジリエンス-Resilience)のある環境を備えることが必要不可欠となっています。

まとめ:ネットワークを「足かせ」にしないために

SPBは、単なる通信プロトコルの一つではありません。それは、人手不足と複雑化に悩むIT現場を救い、ビジネスの拡張スピードにインフラを追従させるための解決策(ソリューション)です。

  • 自動化による「最短経路」の活用
  • VXLANと比較した際の圧倒的な「シンプルさ」と「低運用コスト」
  • 隠蔽技術による「高セキュリティ」

これらを実現するExtreme NetworksのFabric Connect(SPB)は、これからの企業ネットワークの「最適解」の一つと言えるでしょう。

しかし、いかに優れた技術であっても、それを日本のお客様の環境に合わせて適切に設計・導入・サポートできるパートナーの存在が不可欠です。丸紅I-DIGIOグループは、長年にわたりExtreme Networks製品を取り扱い、国内トップクラスの導入実績とSPBに関する深い技術的知見を有しています。特に丸紅情報システムズはExtreme Networks社より「Diamond Elite Partner」に認定されており、多数の導入実績と高度な技術資格を有するエンジニアが在籍しております。

▼Extreme NetworksからTop DVAR Award FY25およびFY25 Partner Sales Awardを受賞しました。

もしあなたが次のようなお悩みをお持ちの場合、
「技術的なことはわからないが、とにかく止まらない、手のかからないネットワークにしたい」
「他社でVXLANを提案されたが、自社の体制で運用できるか不安だ」

ぜひ一度、丸紅I-DIGIOグループへご相談ください。
お客様のビジネス課題解決への最短経路をナビゲートいたします。

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