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限界を迎える大規模病院のネットワークインフラ
医療現場におけるネットワークインフラは年々重要性を増していますが、300床以上の病院の多くは、次のような課題に直面しているケースをよく目にします。これは業界共通の悩みと言えるでしょう。
- 長年のツギハギ増設でVLAN設定がブラックボックス化し、全体像を誰も把握しきれていない。
- 老朽化したネットワークをリプレースしたくても、院内中に張り巡らされた配線ケーブルの引き直しには、高額な工事費と長期間のダウンタイム(院内ネットワークインフラの停止)が必要になる。
- 日々、医療機関を狙うランサムウェア攻撃に対し、現在のネットワーク分離設定で本当に被害を防げるのか不安。
- 慢性的な人材不足の中、日々のトラブルシューティングだけでなく、新たな機器の追加の設定・変更に疲弊している。
止まらないプレッシャーと終わらないクレーム
病院のネットワーク停止は、電子カルテ(HIS)の閲覧不能や画像診断システム(PACS)の表示遅延を招き、場合によっては人命に関わる重大な医療事故に直結しかねません。
複雑怪奇に絡み合った既存ネットワークでは、医療IoT機器(IoMT – Internet of Medical Things)を1台追加するための設定変更すら、システム全体をダウンさせる引き金になりかねない恐怖が伴います。さらに、従来型のネットワーク構造では、ネットワーク内のPC1台がランサムウェアに感染した場合、あっという間に院内全体へ被害が横展開(ラテラルムーブメント)し、病院機能が完全停止するリスクを抱えています。

そして、日々の運用では「Wi-Fiが遅い」「カルテがすぐに開かない」といった現場からの終わらないクレーム対応に追われ、本来進めるべきIT戦略に手すら付けられない……。そんなプレッシャーの中で運用を続けるのは、もはや限界に達しているのではないでしょうか。
医療インフラの常識を覆す解決策
これらの切実な課題を解決し、現場の運用負荷を劇的に下げる全く新しい解決策があります。
それが、Extreme Networks(エクストリームネットワークス)が提供する「ファブリック技術」と、AIを活用したクラウド統合管理プラットフォーム「ExtremeCloud IQ(エクストリームクラウド アイキュー)」の組み合わせです。
物理的な配線に縛られない次世代の論理ネットワーク(ファブリックネットワークとネットワークの仮想化)を構築することで、大掛かりな配線工事の負担をなくし、強靭なセキュリティと「手放し運用」を同時に実現します。
病院ネットワークを劇的に変える4つのメリット
Extreme Networksのソリューションが、具体的にどのように課題を解決するのかをご紹介します。
1. 【セキュリティ】「ステルス化&セグメンテーション」によるランサムウェア防御
従来のVLANやアクセス制御リスト(ACL – Access Control List)による境界防御には管理の限界があります。Extreme Networksの「Fabric Connect」は、電子カルテ系、医療機器(IoMT)系、患者用フリーWi-Fiなどを論理的に完全に切り離す「ネットワークマイクロセグメンテーション」を実現します。
ネットワークマイクロセグメンテーションを実現する仮想サービスネットワーク(VSN – Virtual Service Networks)は従来のVLANと異なり、完全に隔離された状態、つまりハッカーやマルウェアから構造が見えない「ステルス化」された状態を実現します。つまり、攻撃者から見るとネットワーク内に侵入し、探索を繰り返しても目的は達成できない迷宮と化すのです。

これは、ファブリックネットワーク化することで、患者用フリーWi-Fi接続の端末がマルウェア等に感染しても、電子カルテなどへの被害の横展開(ラテラルムーブメント)を防ぐことができます。
そう、ファブリックネットワークという強靭なネットワークそのものが最強の盾となるのです。
2. 【リプレース】既存の配線を完全流用し、ダウンタイムとコストを最小化
ネットワークの全面リプレースは大プロジェクであり、稼働中の病院において、最大の障壁は「配線工事」です。何故ならば、ネットワークというものが物理配線に依存しているからですが、ファブリック技術は違います。物理的な配線(トポロジ)に依存せず、院内に張り巡らされた既存の光ケーブルやLAN配線といった物理資産を「そのまま流用」して、最新のネットワーク環境へリプレースすることが可能です。
このリプレース方法は、ただ「機器新しくした」だけではなく、ネットワークの論理構成も最新化し、全く新しいネットワーク構造へ進化させる手法です。つまり、コアとエッジのスイッチを入れ替えるだけで複雑なVLANから脱却でき、病棟を休止させるダウンタイムや莫大な配線工事費を回避できます。
実際に、ある病院様でメンテナンス用回線の調達が間に合わず、既存回線・配線を流用し、仮想ネットワークを新設することで短時間のネットワーク構築を実現しました。また、急な機器追加、セグメント仕様の変更、事前計画から漏れたサーバの追加など急な対応は起こり得ることです。これら事象にも柔軟な対応ができるネットワークの仮想化は工期キープのための重要な選択です。
3. 【新規構築・移転計画】「絶対に止まらない」インフラと圧倒的省力化
新棟建設や病院の移転計画に合わせてネットワークを全面刷新する場合、「止まらないこと」が絶対条件となります。しかし、移転や移動となると、現場の医師や看護師、事務メンバーが忙しく作業を行うことでしょう。その中で、誤ったケーブル接続は現場の作業を止め、ネットワーク断という問題を発生させ、移行トラブルへと発展していきます。

Extreme Networksのファブリック技術は、ループ障害の原因となるSTP(スパニングツリープロトコル)を使用しません。万が一の機器故障時も最短数十ミリ秒(体感ゼロ)で迂回経路に切り替わり、電子カルテの通信を瞬断させません。 これは日々の運用でも同様で、突然のケーブル断や経路トラブルにも強いネットワークが形成され、止まらないネットワークが実現できるのです。
また、医療機器の追加や病室のレイアウト変更時も、従来のようにコアからエッジまで全てのスイッチを設定変更する必要はありません。「末端(エッジ)スイッチのポート設定のみ」で自動的にネットワーク全体へ設定が反映されるため、運用工数を劇的に削減します。
4. 【統合管理】AIが支える有線・無線の「統合」管理
高機能なネットワークの運用には高度スキルを持った人材が必要、しかし人手は足りない……。そんなIT人材不足を救うのが、クラウド管理プラットフォーム「ExtremeCloud IQ」です。
院内の有線LAN(スイッチ)と無線LAN(アクセスポイント)を単一のダッシュボードで一元的に「統合」管理します。AI(人工知能)とML(機械学習)がネットワークの健康状態を常時モニタリングし、「どの端末が、どこで、なぜ遅延しているか」を自動分析して解決策を提示。専門のネットワークエンジニアがいなくても、通常より圧倒的に少ない人員で安定稼働を実現します。
今こそ、インフラを抜本的に見直すタイミング
本ソリューションは、ネットワークの老朽化や属人化した運用に悩む医療機関に最適な選択肢です。
現在、厚生労働省の「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」でもネットワークの分離やサイバーセキュリティ対策が強く求められており、ランサムウェア被害が急増する今、インフラの見直しは「待ったなし」の状況です。
近々ネットワークのリプレース時期を迎える、あるいは新棟稼働などの移転計画が進行中であれば、これまでの複雑な制約や運用負荷から抜け出す絶好のタイミングです。
次世代スマートホスピタルの実現に向けて
ここまでざっくりとファブリックネットワークについてご説明しましたが、以下の疑問は生じることでしょう。
「自院の複雑な既存配線でも本当に流用できるのか?」
「ダウンタイムゼロをどの様に実現しているのか?」
「機能は良いが、導入・運用の具体的なコストが知りたい」
これらの疑問を解決するため、まずは医療機関におけるファブリックネットワーク導入の成功事例資料をご活用ください。そして、次世代の「止まらない医療ネットワーク」構築に向けて、弊社の豊富な導入実績・ナレッジを活用頂ければ幸いです。
導入事例 Extreme Networks 松戸市立総合医療センター様
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