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千葉工業大学様

増大する通信量にも対応して、"学びを止めない"千葉工業大学のキャンパスネットワーク

千葉工業大学は、国内屈指の歴史を持つ私立理工系大学として、常に最先端の教育環境を学生に提供してきた。ところが近年、BYOD(Bring Your Own Device=個人端末の持ち込み)の急速な普及や、コロナ禍以降に定着したウェブ会議ツールの授業利用などにより、2013年に導入された従来のWi-Fi環境は限界を迎えつつあった。接続するデバイス数の増加による通信遅延、気象レーダーなどのレーダー検知による停波問題。これらの複雑な課題をいかに乗り越えたのか。

本記事では、ネットワーク基盤をExtreme Networksのソリューションによって刷新し、150人収容の教室で、全学生が一斉に3台のデバイスでアクセスする「止まらない」環境を実現した千葉工業大学の取り組みについて、千葉工業大学 総務部 グループ長(情報システム担当) 井手 直明氏と、同大学 情報変革科学部 認知情報科学科 教授 藤田 茂氏にお話を伺った。

  • 全学科BYODの環境下で、増大する通信量にも支障なく対応できるネットワークが必要
  • 従来のシステムでは、気象レーダーや船舶レーダーなどの影響を受けると停波するため、レーダーの影響を受けないチャネルのみを使用することで通信品質の低下や高密度環境での電波干渉の問題が発生

解決すべき課題と、Extreme Networks選定の決め手

1. BYODの加速と「レーダー波」による停波、旧規格が抱えていた限界

―― 今回、学内のWi-Fi環境を全面的に刷新されたとのことですが、それ以前の環境では具体的にどのような課題や問題を抱えていたのでしょうか。

井手氏 まず大きな要因として、既存のWi-Fiシステムが2013年に導入されたもので、規格的にも非常に古くなっていたことが挙げられます。当時はIEEE802.11n規格が最新であり、主な目的も「大学が配布したiPadが各教室で最低限使えれば良い」というレベルでした。しかし、それから10年が経過し、通信規格は大きく進化しましたし、大学を取り巻く通信環境も劇的に変化しました。なかでも大きかったのは、今年度から開始した「全学科BYOD」です。以前は一部の学科のみが対象でしたが、現在は全学生が自分のノートPCを教室に持ち込み、授業を受けるのが当たり前になっています。さらに、コロナ禍を経てオンライン会議ツールを授業で使用することが日常化し、通信量(トラフィック)は2013年当時とは比較にならないほど増大しました。その結果、従来のネットワーク環境では立ち行かない状況に陥っていました。

また、本学の新習志野キャンパスや学生寮も当然ながらネットワーク刷新の対象でしたが、新習志野は海に近いという立地条件にあるため、気象レーダーや船舶レーダーの影響を強く受けていました。そのため従来のシステムでは、レーダー波を検知すると5GHz帯の無線が一定時間停止してしまう停波問題が頻繁に発生し、使用できるチャネルがレーダー波の影響を受けないW52に限られていました。加えて、学生寮でも通信品質の低さから寮生より多くのクレームが寄せられて、こうしたネットワーク基盤全体のレベルを引き上げる必要がありました。

2. 150人同時接続を支える高密度設計と、停波を回避する「Zero Wait DFS」が決め手

―― ネットワーク刷新にあたり、複数のメーカーやベンダーを比較検討されたと思います。そのなかで、最終的にExtreme Networksを選ばれた、最大の決め手は何だったのでしょうか。

井手氏 ご提案をいただくにあたって、私たちが提示した要件は非常に厳しいものでした。具体的には「150人収容の教室に150人の学生がいて、学生1人あたり3台のデバイスを同時接続させ、かつ1人あたり5Mbps以上の実効速度を保証する」というものです。この高密度環境でのパフォーマンスを担保できるかどうかが、私たちが設定したハードルでした。

複数社からご提案をいただくなかで、最終的にExtreme Networksを選んだ決定的な理由は2つあります。1つは「Zero Wait DFS」という機能です。先ほど申し上げたレーダー波による停波問題に対し、Extreme Networks製品は、レーダーを検知してもユーザーに影響を与えることなくチャンネルを瞬時に切り替える仕組みを備えていました。当初はWi-Fi 6Eの導入も検討しましたが、当時はまだ製品が出始めたばかりで安定性に不安がありました。そのためWi-Fi 6Eの導入は見送る一方で、Extreme Networks製品であれば、実績のある機能によってレーダー問題を解決できる。この点は、沿岸部にキャンパスを構える本学にとって非常に大きなメリットでした。

藤田氏 もう1つの理由は、過去の実績に対する信頼感です。実は情報科学部情報工学科では、2011年からExtreme Networksのレイヤー3スイッチを導入していたのですが、これが10数年もの間、一度も大きなトラブルを起こすことなく稼働し続けていました。現場の人間として、Extreme Networks製品の堅牢性と、「レイヤー2(データリンク層)での管理のしやすさ」は身をもって理解していました。技術的な優位性に加え、この「壊れない」という実績が、全学的なシステム刷新を任せるうえで大きな安心感につながりました。

採用決定から、導入、そして稼働へ

3. コスト削減への柔軟な対応と、現場での微調整が生んだ「完璧な電波環境」

―― 採用決定から2024年9月の本稼働まで、導入プロセスにおけるITベンダー(キヤノンITソリューションズ、丸紅情報システムズ)やメーカーの対応はいかがでしたか。

井手氏 非常に満足しています。特に感謝しているのは、予算面での柔軟な対応です。大規模な刷新ですので予算管理は厳格ですが、私たちはコスト削減のために、ネットワーク機器に装着するSFPモジュールについて、メーカー純正品ではなく安価なサードパーティ製を使いたいという要望を出しました。通常、メーカー側は保守の観点から純正品の使用を強く推奨し、他社製を認めないことが多いのですが、本案件では、ITベンダーが丁寧に調整してくださり、最終的には私たちの希望どおりの構成でシステムを構築することができました。こうした柔軟な姿勢は、限られた予算のなかで最大限のパフォーマンスを追求したい大学側にとって非常に助かりました。

また、導入後の現地調整も非常に丁寧でした。アクセスポイントを設置して終わりではなく、教室を回って電波強度を実測し、数値が思わしくない場所については、アクセスポイントの位置を微調整したり、台数を追加したりといった対応を迅速に行ってくれました。

当初のスケジュールもタイトで、学内の承認プロセスとの兼ね合いから手配が難航する局面もありましたが、結果的にはオンスケジュールで8月の本稼働にこぎ着けることができました。さまざまな大変なご苦労をおかけしましたが、プロフェッショナルな仕事ぶりでしっかりと対応していただき、大変ありがたく感じています。

4. 管理負荷が劇的に軽減。マルチキャスト問題も迅速に解決し「クレームゼロ」を達成

―― 2024年8月の稼働開始から現在までの運用において、実際の通信状況や管理面での変化について教えてください。

井手氏 稼働後は「驚くほど静か」で、利用者からクレームが聞こえてきません。従来システムのときは、学生寮からの通信に関する不満や、教室での通信品質に関するクレームなどが頻繁に寄せられていたのですが、今ではほとんどゼロになりました。

情報システム担当としては、ネットワークの不具合対応に追われる時間が劇的に減り、本来の業務に集中できるようになったことはとてもありがたいです。もちろん、まったくトラブルがなかったわけではありません。稼働初期に、ネットワーク内に大量のマルチキャスト通信が流れたことで、Wi-Fiの接続が著しく遅くなるという事象が発生しました。しかしこれも、Extreme Networksの管理ツールによる可視性が高かったおかげで原因特定が早く、マルチキャスト通信を制御するという対応を講じることで、すぐに解決できました。

また、懸念していたレーダー波による停波問題についても、Zero Wait DFSが期待通りに機能しているため、通信の中断による不具合が生じることは発生していません。

150人収容の教室で、全員がPCとスマートフォンを同時に使っても、通信遅延を感じさせない安定感があります。以前の「つながればよい」という環境から、現在は「高速なのが当たり前」という、BYOD時代の基盤としてふさわしい環境になったと高く評価しています。

―― 稼働後のサポート体制や、メーカー・ベンダーとの関係性についてはどのようにお感じですか。

井手氏 現状、システムが安定して稼働しているため、頻繁にサポートを仰ぐような事態にはなっていません。逆にいえば、この「安定していること」自体が製品品質の高さと、導入時の丁寧な構築の証であり、トラブル対応のサポートをほとんど必要としないという事実は、大変ありがたいことだと受け止めています。

藤田氏 ただ、あえて要望を挙げるとすれば、Extreme Networksのメーカーエンジニアの方々との直接的な情報交換の機会を、今後も定期的にいただけるとありがたいと考えています。Extreme Networksには、以前からネットワーク業界をけん引している技術者が多く在籍し、非常に高いノウハウをお持ちです。導入プロセスの途中でも、一部の特殊な挙動についてエンジニアの方と直接対話し、海外の技術チームも巻き込んで解決していただいたことがありましたが、そのスピード感と技術レベルの高さには感銘を受けました。

今後、システムの拡張や新しい技術(Wi-Fi 7など)を検討する際には、ITベンダーを通じたサポートに加えて、メーカーのスペシャリストの知見に直接触れられるような「太いパイプ」を維持していきたいですね。

今後の要望や、ネットワーク環境などについての将来展望

5. 100Gbpsへのバックボーン拡張。セキュリティと性能の両立で「止めない教育」を継続

―― 今後のネットワーク環境の拡充や、大学としてのICT戦略の展望についてお聞かせください。

井手氏 今回の刷新では、学外接続回線も従来の10Gbpsから100Gbpsへと大幅に増速し、将来のトラフィック増大に備えた「余裕」を持たせることができました。当面のあいだ、性能面での不安はありませんが、教育のDXが進むにつれ、1人あたりの通信量はさらに増えていくものと考えています。

デバイスの数自体は、1人あたり3台程度という目安は今後も大きく変わらないかもしれませんが、そこを流れるデータの内容は、どんどん重くなっていくはずです。そうした変化に対しても、今回刷新したシステムは今後5年間は十分に戦える基盤だと見込んでいます。

藤田氏 今後の最重要課題と位置付けているのは「セキュリティ」です。昨今、教育機関を標的としたランサムウェア攻撃などが大きな脅威となっています。Extreme Networksには、VXLANなどを用いたファブリック構成により、ネットワークを論理的に分割し、セキュリティポリシーを効率的に適用できる構造になっています。現在はキヤノンITソリューションズの協力のもと、ファイアウォールを含めた安定運用を行っていますが、今後はこの基盤を生かし、より高度な検知や防御の仕組みを取り入れていきたいと考えています。

井手氏 大学としては、対面授業を重視する姿勢は変わりません。だからこそ、対面授業を支える安定したネットワークは「教育のライフライン」として欠かせないと考えています。Extreme Networksには、これからも「止まらない、切れない、そして安全な」インフラを提供し続けてくれることを期待しています。

―― この先も、やりとりされるデータの通信量はますます増えていくことは間違いない。教育現場に限らず、企業などにおいても、どれほど通信量が増大しようとも「止まらない、切れない、そして安全な」通信インフラを構築しておくことは、教育、そして事業の継続に不可欠の要素であると言ってよいだろう。その不可欠な基盤を、確実に構築していくうえで、Extreme Networksが果たす役割は今後も一層大きくなっていくに違いない。