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IoTで強化する職場の熱中症対策|最新技術で安全・安心な職場環境を実現

近年、異常気象による猛暑が世界各地で深刻な課題となっており、特に高温環境での作業や生活を余儀なくされる場面では、熱中症のリスクが高まっています。
国内では2025年6月1日から改正労働安全衛生規則が施行され、企業には熱中症対策の実施が罰則付きで義務付けられることになりました。こうした背景から、IoT技術を活用した熱中症対策への関心が高まっています。本稿では、IoTデバイスを用いた熱中症予防の具体的な方法や、そのメリットについて詳しく解説します。

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熱中症とは?その危険性を理解する

熱中症は、体の温度調節がうまく働かなくなることで起こります。特に高温多湿の環境で長時間過ごすと、体内の水分と塩分が失われ、体温が急激に上昇することが原因です。この状態が進行すると、意識障害や内臓の機能障害を引き起こす可能性があり、最悪の場合は死に至ることもあります。

熱中症の症状は多岐にわたります。軽度の場合は、めまいや筋肉のけいれん、異常な発汗などが見られますが、重症になると高熱や意識障害、さらにはショック状態になることもあります。したがって、初期症状に気づいた場合はすぐに涼しい場所に移動し、水分を補給することが重要です。

特に高齢者や子ども、そして持病を持った方は熱中症にかかりやすいとされています。また、屋外での作業や運動を行う際も注意が必要です。熱中症のリスクを理解し、その危険性を正しく認識することで、適切な予防策と迅速な対応が可能となります。

IoT技術を活用した熱中症対策

IoT技術を利用することで、リアルタイムでの監視や通知が可能となり、効果的な熱中症対策が実現します。

ウェアラブルデバイスでの健康管理

ウェアラブルデバイスは、体に直接装着して使用するデバイスで、身体の状態をリアルタイムで監視することができます。特に熱中症に対しては、体温や心拍数、発汗量などのデータを収集し、異常を検知した際に即座に警告を発することができます。たとえば、スマートウォッチはユーザーの体温や心拍数を継続的にモニタリングし、異常が発生した際にはアラートを送信します。このようなデバイスは特に高温環境で作業する人々にとって重要です。

例を挙げると、建設現場で働く人々や、高齢者介護施設にいる方々は、熱中症になるリスクが高いため、これらのウェアラブルデバイスの導入が推奨されます。デバイスは早期の異常を検知し、深刻な状態に至る前に対応することができます。体に装着するため、データの取得精度が高く、信頼性もあります。また、これらのデバイスは Bluetooth や Wi-Fi などの接続機能も持ち、集めたデータを中央管理システムに送信し、遠隔地でもモニタリングが可能です。結果として、健康管理の効率が飛躍的に向上し、快適で安全な環境を確保することができます。

環境センサーでの暑さ指数(WBGT)モニタリング

環境センサーは、周囲の温度や湿度、風速などの環境データを正確に測定し、暑さ指数(WBGT)を算出します。これにより、作業環境の暑さを客観的に評価し、適切な熱中症対策を講じることが可能です。暑さ指数 (WBGT) は、熱中症リスクを評価するための指標であり、温度、湿度、日射、風、輻射熱などを総合的に考慮して算出されます。これにより、労働者が安全に働くための指示をリアルタイムで提供することができます。

具体的な例として、建設現場や工場内では、環境センサーを施設や作業エリアに設置することにより、リアルタイムで暑さ指数をモニタリングし、管理者がリスクを即座に把握できます。また、労働者にも適切な休憩タイミングを知らせることができるため、過度な肉体的負荷を避けながら効率的な作業が実現します。さらに、介護施設や学校などでも同様に、利用者や生徒の健康を守るために環境センサーが役立ちます。これにより、気候変動による異常な暑さにも対応でき、安全で健康的な環境が維持されます。

遠隔地からのリアルタイムモニタリングと管理

遠隔地からのモニタリング技術を活用することで、複数の場所でのリアルタイムな健康状態管理が可能です。これにより、管理者はどこにいても従業員や利用者の健康状態を把握し、異常が発生した場合には即座に対応することができます。遠隔地からのモニタリングシステムは、主にウェアラブルデバイスや環境センサーからのデータをクラウドに送信し、中央管理システムで解析する仕組みです。

たとえば、企業の安全衛生管理者はオフィスから現場作業員の健康状態を監視し、高温環境下での異常を検知した場合には、即座に連絡や指示を出すことができます。また、介護施設の管理者は、施設内の各エリアの環境を把握し、高齢者の安全を守るための迅速な対応が可能です。IoT技術を活用することで、これまで現場に赴かないと確認できなかった情報を素早く取得できるため、効率的かつ効果的な対応が可能になります。

さらに、教育機関でも遠隔地からのリアルタイムモニタリングを導入することで、生徒たちが安全に学習環境を維持する支援ができます。このように、IoT技術による遠隔モニタリングと管理は、多岐にわたる場面で役立ち、熱中症リスクの低減に大いに貢献します。

IoT技術による具体的な熱中症対策事例

IoT技術を活用した熱中症対策事例を紹介します。

建設業界でのIoTデバイス活用事例

建設業界では、現場作業員の安全を確保するためにIoTデバイスが広く利用されています。具体的な例として、ウェアラブルデバイスを作業員が装着することで、体温や心拍数をリアルタイムでモニタリングします。危険な値が検出された場合、即座に通知が管理者に送られ、適切な対応が取れる仕組みです。また、環境センサーが設置されており、現場の温度、湿度、放射熱などを計測し、暑さ指数(WBGT)を算出します。これにより、熱中症のリスクが高まる前に作業を中断したり、休憩を取る指示が出されることが可能です。さらに、作業現場が広範囲にわたる場合でも、遠隔地からのリアルタイムモニタリングにより、一貫した安全管理が行えます。これらのIoTデバイスの活用により、労働者の健康と安全が継続的に管理され、熱中症のリスクが大幅に低減されます。

介護施設でのIoTソリューション導入事例

介護施設では、利用者の健康を守るため、IoT技術が重要な役割を果たしています。たとえば、ウェアラブルデバイスや環境センサーを活用し、利用者の体温や心拍数を常時監視することで、熱中症の早期発見が可能です。異常が検知された場合は、即座に施設職員にアラートが送られ、迅速な対応が取れるようになっています。また、施設全体に設置された環境センサーが温度や湿度を測定し、居室の快適な環境が維持されるよう自動的にエアコンや換気システムを調整します。さらに、遠隔管理システムを利用することで、家族や医療機関がリアルタイムで利用者の健康状態を確認することができ、安心して介護を任せることができます。このように、IoTソリューションの導入により、利用者とその家族の安心感を高めるとともに、熱中症などの健康リスクを効果的に予防することができています。

学校でのIoTを活用した熱中症対策

学校では、IoT技術を利用した熱中症予防の取り組みが進んでいます。特に、運動部活動や体育の授業での活用が注目されています。ウェアラブルデバイスを生徒に装着させ、体温や心拍数をモニタリングすることで、健康状態をリアルタイムで把握し、異常が発生した際にはすぐに適切な対応を取ることができます。これにより、事故を未然に防ぐことができます。また、教室や校庭に設置された環境センサーが温度、湿度、放射熱を計測し、暑さ指数(WBGT)を監視します。これにより、体育の授業中や運動部の練習時間の適切な中断や休憩を指導することが可能となっています。さらに、保護者が遠隔で子どもの健康状態を確認できるシステムも導入されており、安心して子どもを学校に通わせることができるようになっています。これらのIoT技術の活用により、学校全体で安全な学びの場が提供されています。

一般家庭でのIoTデバイスの利用法

一般家庭でもIoTデバイスを活用することで、熱中症予防が普段の生活に取り入れられています。たとえば、ウェアラブルデバイスを家族全員が装着し、体温や心拍数をリアルタイムで監視することができます。特に高齢者や子供の健康状態を常に把握できるため、異常があればすぐに対応が可能です。また、家の中に環境センサーを設置することで、温度や湿度、CO2濃度などを自動的に監視します。これらのデータはスマートフォンや家のハブデバイスに送信され、必要に応じてエアコンや加湿器、換気装置が自動的に制御されます。さらに、遠隔管理システムを導入することで、外出先でもスマートフォンを通じて家の中の状況を確認し、必要な操作を行うことができます。このIoT技術の活用により、家庭内の熱中症リスクが低減され、快適で安全な生活環境が確保されます。

IoTデバイスの選び方と導入のポイント

IoTデバイスを選ぶ際には、性能、コスト、サポート、メンテナンスを総合的に考慮しましょう。

性能と機能を比較する

IoTデバイスの性能と機能を比較することは、最適な製品を選ぶために非常に重要です。まず、デバイスの精度を確認することが必要です。たとえば、ウェアラブルデバイスならば、心拍数や体温の測定精度をチェックしましょう。次に、機能面では、リアルタイムモニタリングやデータのクラウド保存機能があるかを確認します。

用途に応じた特定機能の有無も重要なポイントです。建設現場では耐久性と防水性能が求められ、介護施設では操作の容易さが重要視されるでしょう。教育機関や家庭用の場合は、長時間のバッテリー持続時間や子供でも簡単に使えるインターフェースが優先されます。

また、デバイスの互換性も考慮に入れるべきです。既存のシステムや他のIoTデバイスとの連携がスムーズに行えるかどうかを確認しましょう。製品レビューや専門家の意見を参考にすることで、より良い選択ができるでしょう。

コスト面の考慮

IoTデバイスの導入には初期費用だけでなく、運用費用も考慮することが重要です。初期費用としては、デバイス本体の価格のほか、設置工事や初期設定の費用が含まれます。高性能なデバイスほど初期費用は高くなりますが、長期的に見てコストパフォーマンスが良い場合もあります。

運用費用に関しては、通常のメンテナンス費用や、必要なソフトウェアのライセンス費用、データ通信費用などが考えられます。たとえば、通信費用を抑えるためにWi-Fi対応のデバイスを選ぶか、データ量が少ないものを選ぶことも一つの方法です。

さらに、導入後のコスト削減効果も検討しておきましょう。たとえば、熱中症対策としてのIoTデバイスを導入することで、生産性の向上といった間接的なコスト削減効果が期待できるものもあります。費用対効果をしっかりと見極めた上で、予算に合った最適なデバイスを導入することが重要です。

サポートとメンテナンス

IoTデバイスを導入する際には、サポート体制とメンテナンスの対応状況も重要な考慮ポイントです。まず、購入前にメーカーや販売店が提供するサポート内容を確認しましょう。たとえば、電話やメールでのサポート、オンラインチャットでの即時対応など、どのようなサポートがあるかをチェックすることが必要です。

また、デバイスのメンテナンス頻度と方法も確認しておくべきです。自分で簡単にメンテナンスできるものであれば手間が少なく済みますが、専門業者による定期的なメンテナンスが必要な場合は追加費用が発生することを覚えておきましょう。

さらに、保証期間や延長保証のオプションがあるかどうかも重要です。特に高価なデバイスの場合には、長期保証があれば安心して利用できます。以上のポイントを総合的に判断し、信頼できるサポートとメンテナンスが受けられるデバイスを選ぶことが、長期的に安定した運用を可能にします。

IoT統合プラットフォーム「MAIDOA plus」を活用した熱中症対策

熱中症対策においてIoT技術は重要な役割を果たしています。ウェアラブルデバイスや環境センサー、遠隔管理システムなどのIoTデバイスを活用することで、リアルタイムに体調や環境の変化をモニタリングし、迅速な応急処置が可能です。

特に、建設業や介護施設、学校、といったさまざまな場所での利用が進んでいます。たとえば、建設業では作業員の安全を確保するために、介護施設では高齢者の健康管理のために、学校では生徒の安全確認のために、一般家庭では子供や高齢者の見守りのために役立っています。

丸紅I-DIGIOグループでは、IoT統合プラットフォーム「MAIDOA plus」を活用した熱中症対策ソリューションを提供しています。最先端のセンサー技術とクラウド管理を組み合わせ、効果的な熱中症対策を実現します。

MAIDOA plusとは?

MAIDOA plusは、温度・湿度・CO2などの環境センサーや、バイタルセンサーを活用して現場の状況をリアルタイムで「見える化」するIoTプラットフォームです。取得したデータはクラウド上で一元管理され、複数拠点の状況も遠隔からモニタリングできます。

MAIDOA plusを活用した熱中症対策ソリューションの特長

MAIDOA plusで実現できる熱中症対策ソリューションの主な特長を紹介します。

1.リアルタイム監視とアラート通知

温度や湿度などのデータを常時監視し、設定した閾値を超えた場合には自動でアラートを発報。メールやアプリ通知、ダッシュボード表示などで、迅速に危険を知らせます。

2.バイタルセンサーとの連携

従業員や作業者の体温や心拍などのバイタルデータも取得可能。体調変化を早期に検知し、個人ごとのリスク管理が可能です。

3.BEMS(Building Energy Management System)との連携

温度センサーを実際に人が活動している高さに設置し居室の温度を測定。AIで分析して作成する室温制御シナリオに基づき、BEMSを介して空調設備をリモートでコントロールし、節電も行いつつ室温の快適性を維持します。

なお、BEMSに関しては以下の記事でも詳しく解説しています。

4.API連携による拡張性

他の健康管理システムや施設管理システムと連携できるため、既存の業務フローにも柔軟に組み込めます。

活用シーン

本ソリューションの主な活用シーンをご紹介します。

1.高齢者施設

居室ごとの環境データと入居者、またそこで働くスタッフのバイタルも一括管理し、異常時は即座に管理者へ通知。安心・安全な生活環境を提供します。

2.オフィス・工場・倉庫

作業環境と作業員の健康状態を常時監視し、熱中症リスクが高まる前に空調調整や注意喚起を自動化。従業員の健康管理と生産性向上に貢献します。

MAIDOA plusの活用により、IoTを活用して熱中症リスクを可視化し、素早く的確な対策を講じることができます。現場の安全管理を強化したい企業や施設にとって、非常に有効な熱中症対策ソリューションです。ご興味をお持ちいただけましたら、ぜひお気軽にお問い合せください。

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