2025年8月1日、丸紅 I-DIGIO ホールディングス株式会社と、IoT プラットフォームを提供する株式会社ソラコムの合弁会社として、新たな通信ソリューション企業「株式会社ミソラコネクト(以下、ミソラコネクト)」が誕生した。
ミソラコネクトは、長年、丸紅グループで培われてきた通信事業の実績と、IoTプラットフォームのパイオニアであるソラコムの技術力を融合させることによって、DX時代にふさわしい通信環境を提供することを目指すフルMVNOの事業会社である。「Connectivity as Air(空気のような接続)」というヴィジョンを掲げ、IoTやDX(デジタルトランスフォーメーション)が加速する現代において、企業が直面する「通信」の課題を多面的に解決することで、ストレスのない通信環境を通じて顧客企業のビジネス成長へと貢献することを目指している。
本稿では、ミソラコネクトの取締役 営業・マーケティング管掌 林 隆史と、同社 デジタルマーケティング部 デジタルマーケティング課 村田 瑞季の二人に、現場が抱える「通信運用の負荷」という課題と、その課題を解決するための同社独自のソリューションの特徴・優位性などについて、詳しく話を聞いた。
ビジネス成長を阻害する「通信サービスの運用負荷」という見えない壁
―― 近年、企業のDX推進に伴い、IoTデバイスやモバイル端末の導入が急増していることもあり、通信サービスの運用面における新たな問題・課題も生まれていると言われています。具体的にどのような問題が起きているのでしょうか。

林 IoTの導入規模は年々拡大しており、企業が管理しなければならないSIMカードの枚数は、数百、数千、場合によっては数万枚に及ぶことも珍しくありません。ここで多くの企業が直面するのが、「通信サービスの運用負荷」という、いわば「見えない壁」です。具体的に言うと、まず「管理の煩雑さ」が挙げられます。たとえば数万枚のSIMがある中で、「どのSIMがどのデバイスに刺さっていて、現在どのような状態で稼働しているのか」をリアルタイムで把握・制御するのは非常に困難です。
村田 また、意外と見落とされがちなのが請求処理などの業務負荷です。ひとつの企業の中でも、部署やプロジェクトごとに異なる予算で動いている場合もあります。そのような場合、「この100回線はA部署へ、あちらの50回線はB部署へ請求を分けてほしい」といった細かい要望が発生することもあります。しかし、一般的な通信サービスではこうしたカスタマイズに対応しきれず、結果的に経理担当者が毎月手作業で振り分けを行うなど、本来不要な事務コストが膨れ上がっているケースが多々あります。
林 さらに現場を悩ませるのが、トラブル発生時の「切り分け」です。「通信がつながらない」という事象が起きた時、その原因がデバイスの故障なのか、通信回線の不具合なのか、それともクラウド側の障害なのかを特定するのは、専門知識がないと非常に難しい作業です。多くの企業にとって、自社のアプリ開発やデバイス選定などは専門領域であったとしても、通信インフラの管理は「守備範囲外」であることがほとんどです。本来の業務ではない領域で、数万台規模の接続を管理し、トラブル対応まで行うことは、担当者にとって極めて大きなストレスとなりますし、本来注力すべきコア業務の時間を奪ってしまうことになります。
このように、通信そのものにかかわる運用負荷や、事務処理、さらには障害発生時の対応などによって、円滑な事業推進が妨げられるような事態が発生することがあり、それらを総合的に解決する必要があるのです。
競争力を高める「通信運用基盤」の再構築:最適化の方向性とその効果
―― そうした運用負荷の課題に対し、企業はどう向き合うべきでしょうか。
林 通信サービスや通信事業者の選定においては、多くの場合、コストのリーズナブルなサービスを選びがちです。確かにコスト削減は重要です。しかし、単に料金が安いだけのサービスを選んでしまうと、後々「やりたいことができない」「トラブル対応に時間がかかる」といった事態に陥り、結果としてトータルコストが高くついてしまうことがよくあります。
そのため、通信事業者を選ぶにあたっては、提供サービスの内容をしっかりと確認して、自分たちが負担している運用負荷のどの部分を、どれだけ軽減できるのか、ということをきちんと見極めることが大切です。逆に言えば、自社が抱えている通信運用の課題が何であるかを明確に把握しないと 、最適なサービスや事業者を選定することはできませんし、結果的に運用負荷の軽減につながらない、ということです。
重要なのは、通信サービスのライフサイクル全体を見据えた「通信運用基盤の再構築」だと言えます。たとえば、回線の調達から運用サポート、請求処理までをワンストップで任せられるパートナーを選ぶことができれば、お客様側の管理工数を劇的に減らすことにつながります。
フルMVNOの強みを生かし、ワンストップで通信サービスの運用負荷を軽減する「ミソラコネクト」
―― まさに「ミソラコネクト」のような、ワンストップでソリューションを提供してくれるサービスが良いということですね。
林 当社「ミソラコネクト」では、「つなぐこと」にまつわるあらゆる手間や不安を取り除き、お客様が意識することなく当たり前に通信を使える環境を提供したいと考えています。それが、私たちが掲げる「Connectivity as Air(空気のような接続)」というコンセプトに込めた想いです。
私たちの最大の強みは、国内でも数少ない「フルMVNO」であるという点です。一般的なMVNO(格安SIM事業者など)と異なり、私たちはドコモ様の回線を借りつつも、自社でSIMの発行や通信制御を行う設備(加入者管理機能)を保有しています。これにより、たとえば「お客様専用のコンソール画面から、即座に特定の回線の通信を止める・再開する」といった操作が可能になります。使わない期間は通信を止めて課金を抑えるといった柔軟な運用が可能になっています。また、SIMの形状もカード型やチップ型のeSIMなど、自社で選定して発行できるため、デバイスの設計に合わせた最適な提案が可能です。
そしてもうひとつの強みが、丸紅I-DIGIOグループとの連携による総合力です。ミソラコネクトは、丸紅I-DIGIOホールディングス株式会社が同グループ企業である丸紅ネットワークソリューションズ株式会社のMVNO事業を継承し、IoTプラットフォームを提供する株式会社ソラコムの戦略的な資本業務提携に基づいて誕生した背景があり、丸紅I-DIGIOグループが持つ通信サービス、アプリケーション開発、クラウド連携を組み合わせることで、業種・業態、企業規模の大小を問わず、多くの顧客企業様に対して、高付加価値のサービス提供が可能になっているのです。
つまり当社は、単なる回線提供事業者ではありません。丸紅I-DIGIOグループの総合力を活用することで、通信回線だけでなく、デバイスの選定からクラウド環境の構築、セキュリティ対策、アプリケーション開発まで、ITシステム全体を一気通貫でご支援できます。
たとえば「つながらない」という問い合わせがあった際も、当社ではデバイスから通信、クラウドまで全体を俯瞰して原因を調査できるため、迅速な解決が可能です。既存のITソリューションを提供しているお客様に対しても、プラスアルファで通信というコンポーネントを組み込むことで、より付加価値の高い提案ができる点も、私たちのユニークな立ち位置だと自負しています。
―― ソリューションとしての「ミソラコネクト」の優位性などについてお教えください。

村田 先ほども触れた通り、当社は「Connectivity as Air」というヴィジョンで、通信を空気のように自然で当たり前に使えるようにするサービスを提供しています。その実現に向けて、お客様に寄り添った多様なプランのご提供ができるといった点が、やはり大きな強みだと自負しています。多くの競合他社が「何ギガでいくら」というタリフを基軸とした体系でサービス提供しているのに対して、当社は、ある程度の目安となるタリフはあるものの、実際にはお客様のご要望に柔軟に対応できるフレキシビリティがあることも優位性のひとつと考えています。低容量から大容量まで、お客様のニーズにマッチした通信プランをご提供できます。
すでに触れたように、当社自体がフルMVNOであることも大きな優位性のひとつですが、それに加えて、日本発のIoTプラットフォームとして、世界各国でサービスを提供しているソラコムのグローバルなサービス展開を活用できる点も大きな強みのひとつだと考えています。当社なら国内での事業展開はもちろんのこと、海外を含む事業展開を見据えた提案が可能です。
―― ミソラコネクトの導入事例をご紹介ください。
村田 ある大手製造業の工場では、多種多様なセンサーや計器類があって、工場の稼働状況などを把握するために、現場の担当者が計器類の数値の確認のために、実際に足を運ぶということがありました。それを無線ネットワークでつないで集中管理したいとのことで、当社が工場内に閉域の通信環境を提供させていただきました。これにより、現場の担当者が計器類の数値を確認するために、わざわざ工場内を移動することがなくなり、業務効率の改善につながっています。
また、サイネージ事業を展開するある企業の場合、日によってコンテンツの配信の有無やボリュームの変動が大きく、その変動に対応できるプランでないと無駄なコストが発生することが課題でした。その課題に対して、当社では、非常に柔軟性の高いプランをカスタマイズすることができるという強みを生かして、通信可能容量を1日単位でも可変させられるプランをご提案させていただき、コストコンシャスな運用を実現していただきました。
こうした事例のように、企業様のニーズにマッチした多様なご提案が可能であることは、ミソラコネクトの大きな強みであると自負しています。
そして、何より、通信サービスの運用負荷を軽減することは当たり前として、その運用部分だけでなく、「調達・運用・請求」という一連のライフサイクル全体を、一元的にサービス提供できるという点が大きな優位性であり、丸紅I-DIGIOグループとの連携で、その幅はさらに広がっています。通信サービスをコアに据えながらも、それだけではない幅の広いサービス提供によって、お客様企業の新規サービスの創出や持続的成長を力強く支援してまいります。

―― 丸紅I-DIGIOホールディングスと、ソラコムの戦略的な資本業務提携によって誕生したミソラコネクト。該社は、各社がもつ優位性が結集することで、従来の通信サービス事業者では実現できなかったサービス網羅性を実現している。通信サービスの運用における課題がある場合はもとより、それに付随するような関連の課題がある場合でも、ミソラコネクトが解決策になり得る可能性は高いに違いない。
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