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MISRAとは?ガイドラインと準拠のポイントを解説

MISRAは、自動車業界発祥で安全性や信頼性を高めるために策定された、コーディングガイドラインとして注目されています。MISRA準拠やガイドラインの内容について、どうすれば確実に対応できるのか迷っている方も多いのではないでしょうか。本稿では、MISRA CやMISRA C++などのコーディングガイドラインの詳細や、具体的な運用方法まで幅広く解説します。

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MISRAの基本とは

MISRAとは、「Motor Industry Software Reliability Association」の略称であり、自動車産業で誕生したソフトウェア向けのコーディングガイドラインです。

MISRAガイドラインは、安全性と信頼性を重視したソフトウェア開発のために作られており、主に「C言語」や「C++言語」でのコーディングガイドラインとして広く採用されています。これらのガイドラインを守ることで、自動車をはじめ、航空機・医療機器・鉄道・産業用機器など多様な分野の品質や安全性が飛躍的に向上します。また、MISRAは開発工程を中心に幅広く活用されるため、ソフトウェア開発者だけでなくプロジェクトマネージャーや品質管理担当者にも重要視されています。

MISRAガイドラインの概要と目的

MISRAガイドラインは、自動車や産業機器向けソフトウェアの安全性・信頼性を確保するために策定されたコーディングガイドラインです。主な目的は、バグや脆弱性の発生を未然に防ぎ、堅牢かつ保守性の高いシステム開発を実現することです。

ガイドラインには具体的なコーディングルールや禁止事項が細かく定められており、静的解析ツールでチェックすることも可能です。こうしたMISRAガイドラインの活用により、コンプライアンスを遵守しながら、信頼性の高いソフトウェアの開発を効率的に進めることができます。

MISRA CとMISRA C++

MISRA Cは、C言語特有のリスクやバグを回避するためのガイドラインがまとめられたコーディングガイドラインです。一方でMISRA C++は、C++言語に特化し、安全性や信頼性を担保するコーディングガイドラインを提供しています。どちらも現場の需要に応じてバージョンアップが行われており、最新ガイドラインの詳細や変更点も注目されています。

自動車業界を中心に、幅広い分野でMISRA CやMISRA C++が採用されており、これらを導入することで品質と安全性、コンプライアンスへの対応力を高められます。

MISRA準拠の具体的な手順

MISRA準拠のためには、まず最新のガイドラインをよく理解し、対象となるルールセットを開発チーム全体で共有することが重要です。次に、静的解析ツールなどを利用してコードのチェックを継続的に行い、違反箇所を修正します。さらに、コンプライアンスレポートの作成や社内教育を実施し、MISRAの基準を定着させるプロセスが必要です。

これらの具体的な手順を実践することで、ソフトウェアの安全性と信頼性を高め、業界で広く認められる品質レベルを維持することが可能となります。

MISRAの最新ガイドラインと変更点

MISRAの最新ガイドラインは、安全性や信頼性向上のために定期的に更新されています。これにより、コンプライアンス対応がさらに強化されています。

最新のMISRA C:2025/MISRA C++:2023の特徴

2025年版のMISRA Cおよび2023年版のMISRA C++は、従来のガイドラインに比べてより厳格な安全性・信頼性の追求がなされたのが特徴です。

新ガイドラインではルールセットが詳細化され、組み込みソフトウェアや自動車向けシステムの設計において脆弱性のリスクを低減するためのルールが追加されています。さらに、MISRA C:2025/MISRA C++:2023 に対応した静的解析ツールもあり、効率的なチェックやレポート作成が可能になっています。最新バージョンではルールの明確化が進み、ツールとの連携によりソフトウェア品質の向上に寄与しています。

最新のMISRAは、過去のバージョンよりもルール数が増加し、より具体的なガイドラインと解析基準が盛り込まれています。特に安全性や信頼性の観点で厳密な規定が追加されているため、静的解析を開発プロセスに組み込むことで、品質管理を徹底しやすくなりました。以前は判断が曖昧だった部分も最新版では明確に規定され、違反箇所の特定や修正が効率的にできるようになっています。MISRA C++も同様に、近年のプログラミング環境やソフトウェアセキュリティの進化に対応した変更が加えられています。

MISRA準拠の課題と解決策

MISRA準拠には、現場での運用やルールの理解不足などが課題です。これらには教育やツール活用が有効です。

一般的な課題とその対策

MISRA準拠の課題としてよく挙げられるのは、ガイドラインの理解不足や適用範囲の判断が難しいことです。また、日々の開発現場では静的解析ツールの運用や違反箇所の修正工数が負担になる場合があります。
ここに加えて、誤検知(false positive)対応や逸脱ルール(deviation)の管理も大きな課題となります。

こうした課題への対策としては、定期的なMISRAに関する社内教育やトレーニングの実施が効果的です。加えて、最新のMISRA対応ツールを導入することで、効率的なコードチェックやレポート作成が可能となり、運用コストを低減できます。成功事例の共有やフォローアップも、社内コンプライアンスの意識向上に貢献します。

企業の成功事例

国内外の自動車メーカーや医療・航空・産業機器メーカーでは、MISRAガイドラインを積極的に導入したことでソフトウェア品質が大幅に向上した事例が多く報告されています。ある企業では、静的解析ツールによるコードチェック体制の構築により、開発効率と安全性を両立させました。

別の事例では、MISRA準拠教育プログラムを導入した結果、開発初期から品質意識が浸透し、外部からのセキュリティ脅威にも強い組込みソフトウェアが実現しています。これらの成功事例は、MISRAガイドラインの正しい活用と組織全体での意識共有が鍵となることを示しています。

MISRA準拠の利点とは

MISRA準拠の最大の利点は、安全性と信頼性を高め、業界で広く認められる品質レベルを確保できる点にあります。ガイドラインに従うことで、バグや脆弱性の発生を大幅に減少させるだけでなく、MISRAルールを前提に開発プロセスを設計し、実装からテストまで一貫した品質意識を保てます。

静的解析や単体テストを組み合わせることで、コード品質を継続的に改善し、効率的なレポート作成や外部監査にも対応しやすくなります。これらのメリットは自動車や産業機器の開発に限らず、あらゆるソフトウェア分野で活用できる重要なポイントです。

MISRA準拠を支援するツールとソリューション

MISRA準拠には静的解析ツールの導入が効果的です。適切なツールを活用することで、コードの品質向上を効率的に実現できます。

1.MISRAルール対応の網羅性

まず重視すべきは、最新のMISRAルールセットにどの程度対応しているかです。たとえば MISRA C:2023/2025、MISRA C++:2008/2023 など複数のバージョンに対応していれば、今後のガイドライン改訂にも柔軟に備えられます。さらに、IDEと連携してリアルタイムに違反を検出できる機能があれば、開発者はコーディング中から即時に修正でき、後工程での手戻りを大幅に削減できます。

2.運用支援機能と拡張性

次に重要なのは、レポートや運用をサポートする機能です。違反内容を整理したレポートを自動生成できるか、チーム全体でコンプライアンス状況を可視化できるか、さらにCI/CD環境への組み込みが容易にできるかがポイントです。逸脱ルール(deviation)の管理や教育支援の仕組みを備えたツールであれば、現場への定着もスムーズになります。

静的解析ツール「Klocwork」でMISRAに対応

これら2つの基準を満たすツールの代表例が「Klocwork」です。

  • 網羅的なMISRA対応
    KlocworkはMISRA C/MISRA C++の複数バージョンに対応しており、ガイドラインに沿った解析が可能です。IDE連携によるリアルタイム検出で、開発者はコード記述の段階から違反を修正できます。

  • 充実した運用支援
    PDFレポート、ダッシュボードによる可視化機能により、品質管理者はチーム全体のコンプライアンス状況を一目で把握できます。また、CI/CDへの統合も容易で、リポジトリにコードをプッシュするたびに自動でMISRAチェックを実行できます。

「Klocwork」役立ち資料

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