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【保存版】SAPとは?導入のメリットやERPとの違いを分かりやすく解説!

「SAPという言葉をよく聞くが、結局何ができるシステムなのかよく分からない」とお悩みではありませんか。IT化が進む現代において、企業の情報を一元管理するSAPの存在感はますます高まっています。本稿では、SAPの基本的な仕組みから導入のメリット、失敗しないための注意点まで、専門用語を解説します。

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SAPとはどのようなシステム?

SAPとは、ドイツに本社を置くSAP社が提供するエンタープライズ・リソース・プランニング(ERP)システムの名称です。ERPとは「企業資源計画」を意味し、社内の「人・物・金・情報」という経営資源を一箇所に集約して管理することを目的としています。SAPは、単なる会計ソフトや在庫管理ソフトの集合体ではなく、それらが密接に連携し合う巨大な情報基盤であると捉えてください。

世界シェア1位を誇るERPパッケージ

SAPは、世界190カ国以上、数十万社を超える企業で利用されている世界シェア1位のソフトウェアです。特にグローバル展開を行う大企業の多くが採用しており、ビジネスの世界では「標準的なシステム」としての地位を確立しています。長年の歴史の中で蓄積された膨大な企業の成功パターンがシステムに反映されているため、導入することで自社の業務を世界レベルへ引き上げることが可能になります。

全社のデータをリアルタイムで統合管理

SAPの最大の特徴は、すべての業務データが「一つのデータベース」でつながっている点にあります。たとえば、営業部門が商品の注文を入力すると、その瞬間に在庫データが減り、経理部門の売上伝票が作成され、工場には生産指示が届くようになっています。このように部門間の壁を越えてデータが即座に同期されるため、情報の伝達ミスや二重入力の手間を排除することができます。

SAPを導入するメリット

SAPを導入する理由は、単に作業を楽にするためだけではありません。経営のスピードを上げ、変化の激しい市場で勝ち残るための「武器」を手に入れることにあります。ここでは、多くの企業が多額の投資をしてまでSAPを選ぶ具体的なメリットについて解説します。

迅速な経営判断を可能にする可視化

SAPを導入すると、社内のあらゆる数字がリアルタイムで可視化されます。経営層は、一ヶ月後の決算を待つことなく、今この瞬間の在庫状況やキャッシュフローを正確に把握できるようになります。問題が発生している事業部や拠点を即座に特定し、手遅れになる前に対策を打てるようになるため、不透明な時代における経営の舵取りが格段にスムーズになります。

世界基準の業務プロセスを自社に適用

SAPには「ベストプラクティス」と呼ばれる、世界中の優良企業が採用している最も効率的な業務の流れが組み込まれています。自社で一から業務の進め方を考えるのではなく、SAPの標準的な機能に自社の業務を合わせることで、洗練されたプロセスを短期間で構築できます。これを「標準化」と呼びますが、属人化した古い仕事の進め方を一掃し、グローバル競争に耐えうる筋肉質な組織へ変革するきっかけになります。

業務効率の向上と入力ミスの削減

一つのデータベースで情報を共有するため、同じデータを何度も入力する手間がなくなります。たとえば、受注時に入力した情報はそのまま出荷指示や請求処理に引き継がれるため、情報の受け渡しに伴うミスや漏れが劇的に減少します。現場の従業員は、単純な転記作業や数字の突き合わせ作業から解放され、より付加価値の高い業務に集中できるようになります。

内部統制の強化と法令への遵守

SAPは、誰がいつ、どのような操作を行ったかという履歴(ログ)を厳格に記録します。データの改ざんや不正な操作を防ぐための権限管理も細かく設定できるため、企業の透明性を高める内部統制が自然と強化されます。また、世界各国の法規制や税制改正にも迅速に対応するよう開発されているため、コンプライアンス遵守の観点からも非常に信頼性の高いシステムと言えます。

多言語多通貨へのスムーズな対応

海外拠点を持つ企業にとって、多言語・多通貨への対応は不可欠な要素です。SAPは標準でこれらの機能を備えているため、国を跨いだ取引や連結決算を極めてスムーズに行うことができます。各拠点の通貨で行われた取引を、瞬時に日本円に換算してグループ全体の状況を把握できる機能は、海外展開を加速させる企業にとって大きな武器となります。

SAPを導入するデメリット

一方で、SAP導入には無視できないデメリットも存在します。メリットばかりに目を奪われると、導入後に「こんなはずではなかった」と後悔することになりかねません。検討にあたっては、以下の3つのポイントを冷静に評価する必要があります。

1.高額なライセンス料と維持コスト

SAPの導入には、ライセンス費用だけでなく、専門のコンサルタントを雇うための費用や、複雑なシステムを動かすためのサーバー構築費用など、多額の初期投資が必要です。さらに、導入後も継続的なメンテナンス費用が発生し続けるため、投資に見合うだけの利益を本当に生み出せるのかというROI(投資対効果)の検証が不可欠です。予算規模は数億円から、大規模な場合は数百億円に達することもあります。

2.操作の習熟に一定の時間を要する

SAPは極めて多機能で複雑なシステムであるため、ユーザーが操作に慣れるまでに一定のトレーニング期間を要します。画面のインターフェースが独特であり、マニュアルなしで直感的に使いこなすことは困難です。導入直後は現場の作業効率が一時的に低下する恐れがあるため、操作研修を充実させたり、社内でのサポート体制を整えたりといった丁寧な準備が求められます。

3.専門知識を持つ人材の確保が困難

SAPの設計や設定、保守を行うには、SAP特有の深い専門知識が必要となります。このような知識を持つ人材(SAPコンサルタントや社内SE)は世界的に不足しており、自社で採用したり、外部から確保したりすることが非常に難しい状況です。人件費が高騰していることもあり、システムを安定して運用し続けるための「人」の確保が、企業にとって大きな負担になる可能性があります。

SAPの導入を成功させるポイント

多額の投資を伴うSAPプロジェクトを成功させるには、単にシステムを導入するだけでは不十分です。事前の戦略設計と正しい手法の選択をポイントとして、解説します。

導入の目的とゴールを明確化する

「現行システムの老朽化」といった消極的な理由だけでなく、導入によって「どのような経営課題を解決したいのか」という目的を明確に設定してください。売上の拡大、コストの削減、あるいは海外展開の加速など、定量的・定性的なゴールを定義することで、プロジェクトの優先順位が定まり、関係者の足並みが揃いやすくなります。

標準機能への適合度を徹底して確認

SAPの価値を最大限に引き出すためには、業務をシステムに合わせる「Fit to Standard(フィット・トゥ・スタンダード)」の考え方が不可欠です。自社の特殊な業務に合わせてシステムを改造(アドオン開発)しすぎると、コストが跳ね上がり、将来のバージョンアップも困難になります。標準機能でいかに業務を回せるかを、要件定義の段階で徹底的に検証してください。

自社に最適な移行手法を選択する

既存のシステムからSAP S/4HANAへ移行する場合、主に「グリーンフィールド」と「ブラウンフィールド」の2つの手法があります。前者は業務プロセスをゼロから作り直す手法で、後者は既存の資産を活かしつつ移行する手法です。自社の変革の必要性と予算、期間を照らし合わせ、どちらのアプローチが最適かを慎重に選択する必要があります。

信頼できる導入パートナーを選定

SAP導入は、自社だけで完結させることはほぼ不可能です。自社の業界特有の業務に精通し、かつSAPの最新技術に明るい信頼できる導入パートナーの選定が不可欠となります。過去の導入実績だけでなく、導入後の保守体制や、自社の文化と相性が良いかといったソフト面での評価も重要な選定基準となります。

他のERPパッケージとの違い

ERP市場にはSAP以外にも多くの製品が存在します。国産のERPや中小企業向けの安価なツールと比較した際、なぜSAPがこれほどまでに支持されているのでしょうか。その決定的な違いは、圧倒的な「スケーラビリティ(拡張性)」と「信頼性」にあります。

大規模なグローバル展開に耐えうる拡張性

SAPは、世界中の異なる言語、通貨、会計基準、税制に標準で対応しています。日本国内だけでなく、海外の複数の拠点を一つのシステムで管理したいと考えている企業にとって、SAPに勝る選択肢はほとんどありません。事業規模がどれほど大きくなっても、あるいは急なM&Aによって拠点が急増しても、システムがパンクすることなく柔軟に拡張し続けられる安定感は、世界トップシェアならではの強みです。

あらゆる業種をカバーする専用機能

SAPは、製造業、小売業、公共機関、金融など、それぞれの業界に特化した専用のパッケージ(インダストリー・ソリューション)を用意しています。たとえば自動車業界であれば、複雑な部品調達や在庫管理の要件が最初から考慮されています。一般的な汎用ERPでは実現できないような、深い専門性が必要な業務領域まで標準機能でカバーできる点が、多くの専門企業に選ばれる理由です。

SAPの2027年問題とは?

 現在SAPを利用している企業にとって最も差し迫った課題が「2027年問題」です。これは旧世代のシステムである「SAP ERP 6.0」の標準保守期限が終了することを指しており、多くの企業が対応を迫られています。

標準保守期限の終了に伴うシステム刷新

SAP社は、従来の主力製品であった「SAP ERP 6.0(ECC 6.0)」の標準メインストリームサポートを2027年末に終了すると発表しています。期限を過ぎると、新たなバグへの修正パッチやセキュリティアップデートが提供されなくなります。当初は2025年が期限とされていましたが、ユーザー企業の状況を鑑みて現在の2027年まで延長されたという経緯があります。

移行遅延による業務停止やコスト増大

2027年を過ぎても旧システムを使い続けることは可能ですが、セキュリティリスクが飛躍的に高まるだけでなく、OSやブラウザのアップデートに対応できずシステムが停止する恐れがあります。また、個別保守を継続するためには高額な追加費用が発生し、維持コストが大幅に増大します。期限間近になると導入パートナーの確保も困難になるため、早めの着手が推奨されます。

次世代のS/4HANAへの移行が必須

2027年問題への抜本的な解決策は、次世代ERPである「SAP S/4HANA」への移行です。S/4HANAは最新のインメモリデータベースを採用しており、従来よりも圧倒的に高速な処理と、AIなどを活用した高度な分析機能を提供します。単なる期限対策としての「守りの移行」ではなく、最新技術を経営に取り入れる「攻めの移行」として捉えることが、これからのデジタル競争を勝ち抜くポイントとなります。

まとめ

本稿では、SAPの基本概念から導入のメリット、他製品との違いまでを詳しく解説してきました。本稿のポイントを簡潔に振り返ります。

  • SAPは世界シェア1位のERPであり、全社の経営資源をリアルタイムで一元管理することで、迅速な経営判断を可能にします。
  • 世界基準の業務プロセスを取り入れられるメリットがある一方で、高額なコストや業務をシステムに合わせる変革の覚悟が必要です。
  • 成功のためには「Fit to Standard」の徹底や、期限を見据えた計画的なS/4HANAへの移行戦略が不可欠となります。

SAPは、これからの不透明なビジネス環境を勝ち抜くための強力なインフラとなり得ます。今回の内容を参考に、自社の成長戦略にSAPがどう貢献できるかを具体的に検討してみてください。

また、導入や移行の具体的な手段として、最新のクラウド環境の活用は有効です。丸紅I-DIGIOグループが提供する「SAP HANA Cloud」なら、高度なデータ活用によりビジネスの俊敏性を高められます。専門的な知見を持つパートナーとして、貴社のDX推進を強力に支援いたします。まずは詳しい特長を、以下から資料ダウンロードいただきご確認ください。

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