丸紅グループのIT基盤を構築した技術力で実現する企業セキュリティ対策。 ソリューションとサービスはこちら
株式会社コーセー様

CT-e1/SaaSとOmnisの導入で、アフターコールワークの大幅削減と応対品質向上を実現

日本の化粧品業界をリードする株式会社コーセー。その顧客接点の最前線に立つ「お客様相談室」では、応対記録業務などのアフターコールワーク(ACW)の負荷軽減と、製品の開発・改良、サービス向上に資するために社内へ還流する「お客様の声(VOC)の記録」の質的向上と均質化が大きな課題であった。また従前に使用していたCTIに不具合があり、その改善も急務であった。

そこで、CTIの刷新と、AIを活用した効率的なVOC蓄積のための音声認識ソリューション導入の検討をスタート。事前に多面的な情報収集を実施し、複数社の提案を比較検討した上で、都築電気株式会社が提案するクラウド型CTI「CT-e1/SaaS(以下、CT-e1)」と、AI音声認識・要約ソリューション「MSYS Omnis(以下、Omnis)」を導入するに至る。

このシステム刷新によって、アフターコールワークは大幅に削減され、VOCの適切な収集・活用にも大きな成果がもたらされたという。本稿では、導入の背景から劇的な成果、そして今後の展望などについて、株式会社コーセー(以下、コーセー) 品質保証部 お客様相談室 楠山 さおり課長、金城 範子課長、および情報統括部 マーケティングシステム課 鈴木 総一氏の3名にお話を伺った。

  • CTIの不具合により、通話音声が不明瞭になる現象が多々発生し、お客さまにご不便をおかけすることがあった
  • アフターコールワークが煩雑であるとともに、スタッフによってVOCの記録内容にバラツキがあった

コーセー「お客様相談室」の役割と、抱えていた課題

1. 電話のみならず、多様な顧客接点を通してお客様の悩みや相談事に対応

コーセーにおける「お客様相談室」は、文字通りお客さまと企業をつなぐ中心的な窓口である。その業務範囲は極めて広く、電話応対のみならず、メール、SNS、チャットなどに至るまで、多種多様な顧客接点を通して寄せられる顧客の悩みや相談に対応している。

現在の陣容は、全体で23名。この組織は大きく「フロントグループ」と「バックヤードグループ」に分かれている。フロントのスタッフは、日々、お客さまから寄せられるさまざまなご相談やお問い合わせに直接対応している。バックヤードのスタッフは、SNS対応や顧客の声を分析・活用するVOC推進、ナレッジマネジメント、そして組織全体の活動を支える後方支援を担っている。

「基本的には、商品に関するお問い合わせや美容相談が主な内容です。ただ、その具体的な内容は実は複雑・多岐にわたります。ひとりの人が使う化粧品は、洗顔から始まり、化粧水、乳液、美容液、クリーム、ファンデーション、口紅、アイカラーなど多種多様です。かつ、商品ひとつについて、いろいろな観点からのご相談やお問い合わせがあるので、内容的にも複雑ですし、それをCRMシステムに反映させるアフターコールワークもとても煩雑になりがちです」と楠山課長は語る。

コーセーというブランドを背負い、お客さま一人ひとりに寄り添いながら、美への期待に応えるための重要な役割を担っているのが、このお客様相談室なのである。

2.通話音声の不具合や、アフターコールワークの負荷が大きな課題に

今般のCTIの刷新以前には、通話音声が途切れ途切れになってしまい、お客さまにご不便をおかけすることがあり、またVOC記録などのアフターコールワークの負荷が大きいことが深刻な課題になっていた。

「以前のCTIでは、通話音声が不安定になってしまうことがありました。お客さまからは『何を言っているのか聞こえない』といったお叱りをいただくこともありました。お客さまに対してもご迷惑ですし、対応しているスタッフとしても、それがストレスになっている状況でした」と金城課長はいう。お客さまとの信頼関係を築くべき第一歩である「会話」そのものが成立しにくい状況は、お客様相談室として早急に改善すべき課題であった。

そして、すでに触れたように、商品ラインナップや、個々の商品に関する問い合わせ・相談内容が多岐にわたることもあり、その内容を正確に記録するアフターコールワークには、多大な時間を費やしていたという。さらには、そうして記録されたVOCの内容も、スタッフによってバラツキがあるために、後々の活用にも支障が出ることがあったようだ。

「あるスタッフが10行書くのに、別のスタッフは、それを1行で済ませている、といったこともあります。こうした情報のバラツキは、社内に顧客の声を還流させる際、大きな障壁となります。商品開発や改善に活かすためのVOCには一定の解像度、つまり詳細さが必要で、その質を均一に保つことを人の手による入力だけで実現するには限界がありました」と楠山課長が言うように、人的対応だけでは難しい側面があることは否めない。

カタログスペックだけでなく、実践的なテストで新システムを選定

3. 全5社の提案を比較検討して選定

これらの課題を解決するため、コーセーは新たなシステムの選定に着手した。選定において重視されたのは、もちろん、通話音声の安定性である。また、それに加えて、AIを活用した業務効率化が実現可能かどうかという視点も重要視したという。

「まずは自分たちで必要な情報を収集し、どのようなCTIシステムを導入すべきか、AIを活用した音声テキスト化サービスはどのようなものがよいか、などを調べました」と楠山課長。自分たちがある程度の予備知識を獲得した上で、最終的には5社からの提案を受けることになった。

4. テストも実施した上で、都築電気株式会社の提案を採用

それらを慎重に検討した結果として、都築電気株式会社(以下、都築電気)のCT-e1とOmnisを組み合わせた提案が採用されるに至った。ただし、カタログスペックだけで決定したわけではなく、しっかりとテストを実施したという。

「実際の電話によるお問い合わせの録音データを使ってテストを実施しました。音声のテキスト化はもちろん、それをどう要約するのか、という点も確認しました」と金城課長。

都築電気の提案を採用した理由は、技術の先見性と運用の安定性、そして高いコストパフォーマンスの3点だという。

「他社の提案には、かなり実績の豊富な音声認識システムなどもありましたが、AIが組み込まれていないなどの難点がありました。その点、Omnisは最新のAI技術を実装しており、将来性がとても高かったことと、テストしてみて、そのアウトプットが申し分なかったことが大きいですね」と金城課長は採用理由を話してくれた。

また、CT-e1についても高い評価がなされた。

「CTIとして、日本国内で豊富な実績があり、安定性がありました。システムの安定性は、こちらとしては最優先事項のひとつであり、また、当社の既存システム、たとえばSalesforceとのスムーズな連携が可能であることも大きな評価点でした」と鈴木氏はシステムの安定性も高く評価する。

■決定から導入までの伴走と、導入後の成果にも満足

5.迅速なカスタム対応で、柔軟なシステム構築を実現

2025年3月に正式に導入が決定し、同年10月には実稼働することができた。この準備期間中、都築電気および丸紅I-DIGIOによる「現場に寄り添った伴走」が、プロジェクトの成功を支えた。

実際の導入にあたっては、標準機能だけでは充足しない現場独自の細かな要望も挙げられた。たとえば、KPIを管理するためのレポート機能である。

「標準のレポートでは、私たちが求めるKPI管理には使いにくい部分があったんです。そこで都築電気さんに相談したところ、『それなら弊社でカスタムします』とおっしゃっていただき、フットワーク軽くカスタマイズしてもらえました」と、金城課長が当時を振り返る。

もちろん、導入して終わりではなく、その後も必要に応じたサポートが継続している。たとえばスタッフが次の入電までの目安を把握するための画面表示についても、現場のニーズに即した改修が現在進行形で進められている。システムを納品して終わりではなく、稼働後の「使い勝手」を重視し、柔軟に対応する姿勢が、導入企業との強い信頼関係を築いている。

6. CT-e1およびOmnisの導入により、大幅な業務改善・効率化が実現

稼働開始から数ヶ月。得られた成果は、当初の期待を大きく上回るものであった。まず、最大の課題であった音声の不安定さは解消された。

そして、大きな成果はやはり、アフターコールワークの大幅な削減である。

「導入直後こそ、使い方に慣れるまではあまり作業時間の短縮はなかったのですが、スタッフが使い方に慣れてからは、約40%もアフターコールワークの時間削減になっています。ただ、体感的には、もっと効果が出ている印象もあります。また、音声通話の内容を要約するにあたっても、そもそも音声認識精度が高く、要約が適切で、スタッフによるバラツキも解消されました。また、プロンプトの設定も自由度が高く、要約にあたって抽出したいポイントもしっかり指示することができ、社内で還流するVOC自体の精度が高くなりました」と楠山課長は高く評価する。

特に注目すべきは、PC入力が苦手であるなど、アフターコールワークに時間がかかっていたスタッフの生産性が飛躍的に向上したことである。

「何よりよかったのは、アフターコールワークが大幅に削減できたことで、その分の時間をお客さまに寄り添った対応や新たなチャレンジに使えるようになったということです。最近では接続率100%という状況も珍しくありません。お客様相談室の役割の最重要ポイントはお客さまのお困り解決なので、日々のお客さま対応が重要なのはもちろんのことです。しかしさらに踏み込んで、お客さまのお困りの根本的な解決、「VOCを商品やサービスの改善改良」につなげる活動や、「お客さまに寄り添ったプラスα提案」に時間をかけられるようになったことが、何よりの成果だと思っています」と楠山課長が続ける。

また、想定外の成果として、スタッフの心理的負荷の軽減や、スーパーバイザーの強力なサポート効果もあったという。

「電話のあとで、自分で入力業務をやらなくてもいい、ということが、スタッフの心理的負担を軽減につながったことも大きな成果です。通話が長くなっても、AIが要約してくれるという安心感で、お客さまとの会話に集中できるので、より丁寧な対応ができます。また、スーパーバイザーのモニタリングも、応対中にリアルタイムでテキスト表示されるので、スーパーバイザーの介入が必要な事態でも、迅速に対応できるようになりました」と金城課長は副次的な効果についても話してくれた。

さらに、システムを担当する鈴木氏が効果として挙げたのが、保守管理の負担軽減と省スペース化だ。

「今回のシステム導入で、当社のインフラの最適化にもつながっています。これまでのオンプレミス型から、クラウド型に移行したことで、物理的なサーバーの設置場所が不要となり、オフィスの省スペース化が実現しました。また、物理的なサーバーがなくなりましたから、そこに費やしていた保守管理業務もなくなり、その効果は大きいです」とのことだ。

■今後の展望は、システム利用範囲の拡大と、VOC活用の深化

7.ECのコールセンターへの横展開も視野に

コーセーでは、今般のシステム刷新の成功体験をさらに広げ、深めていこうとしている。まず活用の拡大については、ECサイト専属のコールセンターへの展開を検討中とのことである。

「ECのセンターは現在別立てになっているのですが、お客様相談室での成功をモデルケースとして、統合的な管理や情報の共有ができる仕組みを構築していきたいと考えています。個別性を守りつつも、VOCとしては統合的に活用できるのが理想だと考えています」と、鈴木氏はさらなる展開を構想している。

8.VOC活用のさらなる深化も重要課題

「今後は、VOCをさらに活用し、スタッフが持つ能力を最大限に発揮できるよう取り組みたいと考えています。フロントスタッフの多くは、以前は店頭でお客さまの接客を担当していたビューティコンサルタント出身者です。そのプロ接客力を最大限発揮できる環境づくりを行いたいと思います。Omnisの導入により、お客さまの声をより鮮明に『ものづくり』や『マーケティング』の部署へ届けることができるようになりました。このリアルな声を、製品開発やサービス改善のサイクルにさらに入り込んでいきたいと考えています」と、楠山課長は今後の展開について話してくれた。

CT-e1やOmnisのさらなる活用を通じて、より進化した顧客満足が実現することだろう。