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テスト自動化の向き不向きとは?効果的な見極め方

「テスト自動化を導入したいが、何から手をつければいいかわからない」「以前挑戦したが、メンテナンスコストばかりかさんで、うまくいかなかった」――そんな悩みを抱えていませんか?近年、ソフトウェア開発では品質向上とコスト削減が求められています。テスト自動化は効果的ですが、すべてのテストに向くわけではありません。自動化の向き不向きを正しく理解しないまま進めてしまうと、かえって工数が増え、失敗に終わるリスクさえあります。

本稿では、テスト自動化に向いているケースと向いていないケース、テスト自動化ツールを導入する際の具体的な判断基準をわかりやすく解説します。

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テスト自動化とは何か

テスト自動化とは、従来開発者やテストエンジニアが手動で行っていたソフトウェアの検証作業を、専用のツールやスクリプトを用いて自動で実施する仕組みのことです。自動化環境を整えることで、繰り返し作業の効率化や人的ミスの削減が期待でき、自社製品の品質向上やコスト削減につながります。近年はAI技術を組み合わせた高度なテスト自動化ツールも登場し、従来ではカバーできなかった複雑なテストにも対応可能になってきています。

一方で、初期導入のための費用やメンテナンスの手間などのデメリットも存在するため、適切なテストの選定が重要です。自動化に向いているテストと向いていないテストを理解し、現場に合った自動化戦略を構築していくことが求められます。

テスト自動化に向いているテスト

繰り返し作業が多く、操作手順が一定で、複雑な処理が含まれるテストは自動化に向いています。

繰り返し作業が多い

繰り返し作業が多いテストは、テスト自動化のメリットが大きく発揮される代表例です。たとえば、「毎週のリリース前に必ず実施する回帰テスト」や「複数のブラウザ・デバイスで同じ操作を確認するクロスプラットフォームテスト」などが該当します。手動で行うと、同じ作業を何度も繰り返すことになり、テスト担当者の疲労やミスのリスクが高まります。自動化環境を利用すれば、こうした反復作業は短時間かつ高精度で実施できるため、品質向上につながります。

また、コスト削減には継続的なモニタリングと改善が必要です。定期的なバッチ処理やAPIテストなども該当し、テストエンジニアが本来注力すべきテスト設計や高度な検証に時間を割けるようになります。自動化ツールを活用することで、繰り返し作業の効率化が可能です。

操作項目や手順が明確に定まっている

操作項目や手順が明確に定まっているテストは自動化に非常に適しています。たとえば、画面遷移が決まっているUIテストや、チェックリストに沿って行う機能検証は、スクリプトを書くことで人為的なミスを防ぎ、安定した品質が担保できます。業務フローが標準化されていて手順が複雑でない場合は、テスト自動化ツールで簡単にシナリオを作成でき、結果の判定も自動で行えるため効果的です。

操作ルートや入力内容が事前に仕様化されているシステムでは、自動化環境の構築が容易で、テストエビデンスの取得やレポート作成も自動化できます。一貫性の高いテストをスピーディに実施したい時、自動化の導入が有効な選択肢となります。

人間による実施が困難・複雑

複雑なテスト、特に手動では再現が難しい環境や大量データの並行処理、幅広い条件分岐などが絡む検証は、自動化によって大きな効果が得られます。たとえば、複数の外部サービス連携時のレスポンス検証やストレステストなどは、手動テストでは実施時間や人的リソースに限界があります。

最新のテスト自動化ツールやAI技術を使えば、多数のシナリオを自動で連続処理でき、異常系やエッジケースも網羅できます。加えて、複雑なテストデータ生成や結果の判定も自動で行えるため、人的ミス防止と品質向上に貢献します。厳密かつ高度な検証が求められる場合は、自動化環境の強みが際立ちます。

テスト自動化に向いていないテスト

実行回数が少ない、仕様変更が頻繁、人間の感覚が必要なテストは自動化に不向きです。

実行回数が少ない

実行回数が少ないテストは、自動化に向いていない代表的な例です。たとえば、一度きりしか行わない臨時の検証や、年に数回しか実施しない限定的なテストは、自動化用のシナリオ作成やツール導入にかかるコストが、得られる効果に見合わない場合がほとんどです。初期設定やスクリプト作成、保守作業も必要であり、投資対効果(ROI)が見合わないこともあります。開発体制や予算によっては、手動テストを選択した方が合理的で効率的です。

人間の感覚や判断が必要

人間の感覚や判断が必要なテストは、自動化に不向きです。たとえば、画面のレイアウトが見やすいか、操作性が直感的か、色使いやデザインが適切かなどユーザー体験に関する評価は、今の自動化ツールやAIでも十分な判定が困難です。

音声品質や映像の微妙な違い、ユーザー心理に寄り添った項目など、主観的な部分はテストエンジニア自身が直接目で見て感じ取る必要があります。こうしたテストでは、手動テストで実際の操作や観察を重ねることで、細やかな品質向上につなげられます。現状、機械では判断できない部分も存在するため、人の力を活かした検証が最善です。

仕様変更が頻繁にある

仕様変更が頻繁に発生する機能のテストは、自動化には向いていません。自動化されたテストスクリプトは、手順や判定ロジックが確定している前提で設計されているため、仕様に変更があるたびにメンテナンスが必要になり、工数とコストが増加します。

頻繁なアップデートや新機能追加が多い開発現場では、自動化環境の整備よりも、柔軟に対応できる手動テストを選択したほうが効率的です。特に画面構成やUI変更が多い場合、要素の再指定やテストデータの再設計が継続的に求められます。現場の状況やツール運用リソースを見極めて、導入・運用のバランスを検討することが重要です。

しかし、これらの「不向き」とされてきた領域も、テスト自動化技術の進化によって変わりつつあります。かつては自動化が困難だった、ユーザーの直感的な操作感の検証や、UI変更への追従も、最新のアプローチを採用したツールであれば効率的にカバーできる可能性が出てきました。この点については、後ほど詳しく解説します。

自動化可否の判断基準とは

自社のテストが自動化に向いているか、以下の質問に当てはめながら考えてみましょう。

  • テスト頻度・反復性:そのテストは月に何回、あるいはリリースごとに何回実施していますか?毎回同じ手順を繰り返す退屈な作業は、自動化で真っ先に効果を実感できる候補です。
  • 保守性:テスト対象の画面デザインは、今後頻繁に変わる予定がありますか?UIの変更が多いと、その都度スクリプトの修正が必要になり、保守コストが増大します。長期的に安定して使える機能から始めるのが成功の鍵です。
  • 安定性・可観測性:テスト環境は安定していますか?テスト結果は、誰が見ても同じように「OK」か「NG」か判断できる明確な基準がありますか?結果が曖昧だったり、環境によって左右されたりするテストは、自動化の難易度が高くなります。

判断フローチャート~自動化する?しない?~

テスト自動化を始めるべきか、まだその時ではないのか。以下のフローで、あなたのテストの現在地を確認してみましょう。

Eggplant DAIで実現するテスト自動化

Eggplant DAIはテスト自動化の効率化と品質向上を実現する先進的なテスト自動化ツールです。テスト対象をモデル化し、そのモデルに基づいてAIがテストケースを自動で生成。これにより、人が思いつかないような操作パターンを実行し、予期せぬ不具合を見つけ出す「探索的テスト」を効率的に行えるのが大きな特徴です。

また、画面を「見た目」で判断する画像認識技術で操作するため、UIの変更が多いアジャイル開発などでもテストが止まりにくく、その真価を発揮します。もし従来の自動化手法に限界を感じているなら、こうしたアプローチが、大規模なシステムから小規模なアプリまで、品質向上と効率化の新たな可能性を広げてくれるかもしれません。

これまで解説してきた人間による実施が困難で複雑で繰り返し作業が多いテストにはEggplant DAIはぴったりです。また大規模なエンタープライズシステムから小規模なアプリケーションまで、幅広いニーズに対応できる強力なソリューションです。

Eggplant お役立ち資料

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