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『最先端AI(Oracle)×丸紅I-DIGIOの実行力』【第1回:Oracle ユーザー共創編】 ~AIエージェントは「作って終わり」ではない― Oracle AI Agent Studio、ユーザー企業とともに"育てる"という選択。そしてBest Cloud AI Partner of the Year(Apps)受賞へ

本企画では、丸紅I-DIGIOグループにおけるAIの取り組みを、協業しているテクノロジーベンダーのキーマンやソリューションなどと共にお伝えしていきます。

「試してはみた。ただ、そこから先に進まない」。AIエージェントの活用について伺うと、こうした声を聞くことが少なくありません。実際の業務に置き換えて考えると、論点は一気に具体的になります。―そのAIは、自社の受注データを正しく読めるか。自社の承認ルールを守れるか。月末の締めに間に合うスピードで動くか。
「動くAI」と「業務で使えるAI」のあいだには、思ったより大きな隔たりがあります。基幹業務は、業界特有の商習慣、長年積み上げた運用ルール、複数システムの連携で成り立っており、汎用的なAIをそのまま被せただけでは、痒いところに手が届きません。
丸紅I-DIGIOグループでOracle ERPを担う株式会社中本・アンド・アソシエイツ(以下、N&A)は、この隔たりを埋める取り組みを、テクノロジーベンダーとユーザー企業を交えた三者で進めています。本記事では、Oracleとの協業を題材に、AI Agent Studioを使ったユーザー企業との共同検討、そこで得られた手ごたえと課題、そして日本オラクル株式会社から受賞した「Best Cloud AI Partner of the Year(Apps)」についてご紹介します。
INDEX

1.「AIエージェント元年」の次に来た、実務の壁

2025年は「AIエージェント元年」と呼ばれ、業務アプリケーションの世界でもエージェントの実装が一気に進みました。Oracleの業務SaaS「Oracle Fusion Cloud Applications」には、すでに400を超える生成AIエージェントが組み込まれ、足元では、人の指示に答えるだけでなく、業務の流れに沿って次にすべきことを判断し、部門をまたいで処理を進めていく方向へと広がっています。

一方で、標準搭載のエージェントだけでは、企業固有の業務プロセスや個別の課題に対応しきれないケースが少なくありません。ここに応えるのが、Fusion Cloud Applicationsに統合された開発プラットフォーム「Oracle AI Agent Studio」です。エージェントの開発・実行・連携・制御・テスト・監視までを一気通貫で扱え、オラクル自身の開発者が使っているものと同じ環境が、顧客やパートナーにも追加費用なく開放されています。

ただし、道具が整うことと、現場で価値が出ることは別の話です。「何を任せるか」「どこまで任せるか」「誰が育てるか」は、業務を知る人にしか決められません。だからこそ私たちは、ツールの評価ではなく"使い方の共創"から始めました。

2.ユーザー企業・パートナー・プロバイダー。三者で取り組む

N&Aは、ユーザー企業である株式会社ファイントゥデイ、株式会社ユーコット・インフォテクノ、そして日本オラクル株式会社とともに、AI Agent Studioの勉強会を実施してきました。座学ではなく、実際に手を動かしてエージェントを作り、そこで生じた課題を次回に持ち寄る。その反復です。

ユーザー企業、パートナー、プロバイダーがそれぞれの立場から成果とつまずきの両方を持ち寄る形をとり、この取り組みは2026年2月にメディア向けに紹介されました。

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勉強会(4社での検討風景)

ユーザー企業の取り組み

「TSUBAKI」「uno」などのブランドを手がける株式会社ファイントゥデイは、グローバルでFusion Cloud Applicationsを利用されています。在庫や製品の情報を照会するもの、在庫の補充や移動を登録するものなど、エージェントの開発等に取り組んでおり、標準画面を操作する場合と比べて作業時間を短縮できる手ごたえを得たといいます。

UCCグループでICTを担う株式会社ユーコット・インフォテクノは、サプライチェーン領域でFusion Cloud Applicationsを活用するなかで、担当者によって業務の処理品質やスピードがばらつくという課題を抱えていました。購買領域を最初の対象に、発注状況の照会やオーダーの更新を行えるエージェントの検証等に取り組んでいます。ERPの操作に不慣れな担当者でも扱える業務の入口をつくるという方向性です。

パートナーとしての私たちの役割

N&Aは、Oracle ERPを専業として30年以上、23か国150社のクラウドERPプロジェクトを手がけてきました(2025年に丸紅I-DIGIOグループへ参画)。この勉強会で私たちが担ったのは、ユーザー企業と同じ立場で試すことに加えて、各社の検討を束ね、そこで得た知見を次の現場でも通用する"型"へ鍛えていく役割です。

私たち自身も、複数の業務領域でエージェントの開発を進めています。例えば、Order to Cash(受注から売上回収まで)の領域では、まず、オーダーの詳細を問い合わせると受注・出荷・請求・入金までの情報を一括で提示するエージェントを開発しました。さらに次フェーズでは、在庫や倉庫、サプライヤーの情報をもとに通常出荷と直送のどちらで対応するかを判断し、受注登録まで行うワークフロー型のエージェントの検証にも進んでいます。情報を「見せる」段階から、業務を「進める」段階へ踏み込んでいるところです。

こうした開発から見えてきたのは、エージェント開発がERPのレポート設計と似た性質を持つこと、そしてエージェントの挙動や回答精度は、プロンプト設計に大きく左右されるということ。つまり、業務フローやAPI仕様への理解――ERPパートナーとして積み上げてきた知見がそのまま効く領域だということです。AIエージェントの開発は「AIの専門性」だけの勝負ではありません。

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記者会見の風景

3.実際に手を動かして見えてきたこと

エージェントの開発と勉強会を重ねるなかでは、いくつもの手ごたえがあり、同時に越えるべき壁も見えてきました。そのなかから、代表的なものをいくつか挙げます。先行して手を動かした最大の価値は、この両方を語れることだと考えています。

・手ごたえ

① エージェント自体の作成・調整は比較的容易
AI Agent Studioを実際に触ってみると、エージェントを作成し、プロンプト等を調整しながら動かすところまでは比較的容易だった。

② 本当に価値のあるユースケースを見つけることの方が難しい
単純に情報を検索・照会したり、チャット画面からトランザクションを登録したりするだけでは、必ずしもAI Agentを使う最適なユースケースとは限らないと感じた。

③「人の判断を支援する」ユースケースに可能性を感じる
人がこれまで業務の中で行っていた判断をAIが支援する、あるいは一部を代替するようなユースケースの方が、AI Agentならではの価値を出せる可能性がある。

・難所

① プロンプトチューニング
ユーザーが期待する正しい結果を、毎回安定して返せるようにするためのプロンプトチューニングが最も難しいと感じた。単に一度正しい回答が返るだけではなく、さまざまな質問の仕方に対して一貫した結果を出せるように調整する必要がある。

② Fusionのデータ・APIに関する知識
Fusionがどのようにデータを保持しているか、またどのAPIをどのように利用するかを理解していない場合、エージェントからFusionの情報取得や処理を実行させる部分は難易度が高い。

この難所を越えるために私たちが進めているのが、ユースケースのテンプレート化です。

勉強会やプロジェクトで生まれたユースケースを一社限りの成果にせず、プロンプトと業務設計をセットにした"型"へ落とし込み、Oracle ERPをご利用中のお客さまへ展開する検討を進めています。ゼロから設計するのではなく型から始めることが、開発期間とコストを抑える最も現実的な手段であり、日本企業特有の商習慣に合わせた作り込みに時間を使えるようにもなります。

そして、この取り組み全体を通じた私たちの結論は、ひとつのメッセージに集約されます。

「AIエージェントを実装して終わりではなく、ユーザー企業、パートナー、プロバイダー一緒に育てていく業務基盤である」

AIエージェントは、導入した瞬間が完成形ではありません。業務が変わればプロンプトも役割分担も変わります。だからこそ"プロジェクト"ではなく"業務基盤"として、三者で育て続ける必要があるのです。

4.Best Cloud AI Partner of the Year(Apps)受賞

こうした取り組みが評価され、N&Aは日本オラクル株式会社が7月10日に開催した「FY27 OPN Japan Partner Kickoff」において、FY26の「Best Cloud AI Partner of the Year(Apps)」を受賞しました。Applications領域におけるAI Agent活用を積極的に推進したパートナー企業を表彰するアワードです。

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授賞式の様子

受賞に際しては、お客さまとのタスクフォース形成や、実務活用に向けた知見の体系化に加え、メディア発信による市場認知の向上に尽力した点が評価されました。注目いただきたいのは、受賞理由が「技術力」単体ではないことです。ユーザー企業と一緒に体制をつくり、得られた知見を業界に開いていく――その一連の姿勢が評価されたものと受け止めています。

5.これから:ERP × AIエージェントの次の一手

Oracle側の進化は加速しています。標準搭載されるエージェントは着実に増え、機能の更新も短いサイクルで続いています。会計・財務、営業、購買、在庫・サプライチェーンが単一のデータモデル上で動くというFusion Cloud Applicationsの強みを活かし、部門をまたぐ調整に数日~数週間かかっていた業務を、大幅に短縮する方向へ向かっています。

こうした技術の進化を、日本企業の業務に合う形に翻訳していくことが私たちの役割です。オラクル標準のAIエージェントと、AI Agent Studioによるカスタムエージェント。この両面を組み合わせ、お客さまの業務の自動化・効率化を支援します。

目指すは、「AIを導入したプロジェクト」ではなく、「AIとともに回り続ける業務」です。そのために、ユースケースを型にし、人材を育て、ユーザー企業と学び続ける。地味に見えるかもしれませんが、"使える武器"はこうしてしか手に入らないと考えています。

おわりに

AIエージェントは、技術の話であると同時に、業務の話です。どの業務を任せ、どこに人が残るのかを決められるのは、その業務を知っている人だけです。だからこそ私たちは、ユーザー企業・パートナー・プロバイダーの三者で育てていく形にこだわっています。

Oracle ERPをご利用中で、AIエージェント活用の第一歩をどう踏み出すかお悩みの方。あるいは、Oracle ERPの枠を超えて、AIエージェントの試作までは進んだものの業務プロセスへの組み込みで止まっている方。ぜひ一度、私たちの学びを参考にしてみてください。

本記事でご紹介した「Oracle AI Agent Studio」を活用し、自社業務の自律化・自動化を本気で推進したいとお考えの企業様向けに、丸紅I-DIGIOグループの専門チームによる個別ディスカッションの場をご用意しています。

「Oracle ERPへAIの組み込みを検討しているが、業務プロセスとの統合に壁を感じている」「現場のガバナンス要件を満たした実装方針を策定したい」といった、具体的なプロジェクト化に向けた課題をお持ちのDX推進・IT部門の皆様は、ぜひお声がけください。

※恐れ入りますが、同業他社様および個人(フリーメール)の方からのお申し込みはお断りさせていただく場合がございます。

次回、『最先端AIOracle×丸紅I-DIGIOの実行力』【第2回:Oracle対談編】に続く

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