「イベントや販促施策を実施しても、その効果を十分に検証できない」「来館者の動きを定量的に把握できない」。こうした課題を抱える商業施設は少なくありません。
小田急電鉄が神奈川県海老名市で運営する商業施設でも、これまで通行量調査は2年に1回の手作業によるカウントが中心で、継続的に来館者の動きを把握することが難しい状況にありました。そのため、施策の立案や効果検証に活用できる客観的なデータの収集が課題となっていました。
そこで導入されたのが、丸紅I-DIGIOグループのAI映像解析サービス「TRASCOPE-AI」です。既存のカメラ映像をAIで解析し、人流をデータとして可視化することで、お客さまへのサービス向上を目指しています。
本稿では、小田急電鉄がTRASCOPE-AIを導入した背景や選定の決め手、実際の分析から明らかになった新たな発見、さらに今後の活用構想について、担当者へのインタビューをもとに紹介します。
小田急電鉄株式会社 まちづくり事業本部 沿線プロジェクト推進部 海老名エリア担当 課長の政光 賢士氏と、同部の中村 俊夫氏の両名と、アドバンストインテグレーションセグメント エンタープライズ事業本部 ストラテジックサービス事業部 AI営業課の前田 悠太、同事業部 ビジネスIT推進課の長谷川 拓央の両名に、人流データに着目した背景や導入の決め手、初期分析で見えてきた発見、そして今後のデータ活用の構想について話を聞きました。
商業施設の人流分析に、こんなお悩みはありませんか?
- イベントや販促施策を実施しても、来館者への効果を定量的に検証できない
- 通行量調査が数年に一度の手作業に頼っており、時間帯別・属性別の傾向が分からない
- 新たなカメラの増設コストがネックとなり、人流データの活用に踏み出せない
上記のようなお困りごとがありましたら、AI映像解析サービス「TRASCOPE-AI」をご検討ください。既存の防犯カメラなどをそのまま活用しながら、人の全体像から属性まで推定できるため、新規カメラの増設を抑えつつ、時間帯別・属性別の人流を継続的に可視化できます。取得したデータは、イベント・販促の効果検証やテナント誘致など、商業施設運営の意思決定に活用いただけます。
\既存カメラを活かして人流・属性データを可視化/
TRASCOPE-AIの資料ダウンロードはこちら導入の背景|なぜ小田急電鉄は人流データに着目したのか?
小田急電鉄では、海老名エリアにおいて商業施設の運営や住宅開発、イベント開催などを通じ、街全体の魅力向上に取り組んでいます。
一方で、商業施設の運営や販促施策を改善していくうえでは、「どの時間帯に、どのような属性の人が訪れているのか」を継続的に把握できていないという課題がありました。
なぜ人流データが必要だったのか。まずは、海老名エリアで掲げる目標や、従来のマーケティングに感じていた課題について伺いました。

商業施設の売上だけでなく「鉄道利用者を増やす」ことが大きな目標
――まず、小田急電鉄にとって海老名エリアはどのような位置づけなのでしょうか。
政光氏 海老名駅周辺には複数の商業施設があり、商業面では競争の激しいエリアです。そのなかで、私たちとしても、この場所に合ったマーケティングや施設運営を考えていく必要があると感じていました。
また、商業施設単体の売上だけを見ているわけではありません。小田急電鉄として海老名エリアで掲げている大きな目標の一つが、鉄道利用者を増やすことです。
商業施設の展開やマンションの分譲、イベントの開催など、さまざまな取り組みがありますが、いずれも海老名を訪れる方を増やしていくためのアクションだと考えています。
――「ViNA GARDENS PERCH」は、そのなかでどのような役割を担っているのでしょうか。
政光氏 「ViNA GARDENS PERCH」は、子育て世代やファミリー層を主なターゲットとした施設です。ギフト需要や、いわゆる「ハレの日」の利用にも比較的強い施設だと捉えています。
だからこそ、どのような方が、どのタイミングでこのエリアを訪れているのかを把握し、それに合わせた施策を考えていくことが重要だと感じていました。
2年に1回の手作業調査では、仮説検証のサイクルを回せなかった
――TRASCOPE-AIを導入する前は、人流をどのように把握していましたか。
政光氏 以前は、2年に1回、人が手作業で通行量をカウントする調査を行っていました。
そのため、駅の自由通路を1日約8万人が通行していること自体は把握できていましたが、時間帯によってどのように人流が変化するのか、どのような属性の方が通っているのかといったところまでは分かりませんでした。
2年に1回の調査ですから、仮説を立てて施策を実行し、その結果を見ながら改善するというサイクルを回すのは難しかったですね。
――イベントの効果測定についても同じ課題があったのでしょうか。
政光氏 そうですね。海老名エリアでは、ほぼ毎週末、何かしらのイベントを開催しています。
ただ、そのイベントによって本当に人が増えたのか、施設への来館につながったのかといった効果測定は十分にできていませんでした。
イベントには当然コストがかかります。一方で、「そのイベントを実施する意味が本当にあるのか」「施設やエリアの価値向上につながっているのか」を示すエビデンスがなかなか取れなかったんです。
これは海老名だけではなく、エリアマネジメントに取り組む鉄道会社に共通する課題の一つだと思います。
経験則に頼る販促から、データを見ながら改善できる運営へ
――従来の販促施策には、どのような課題を感じていましたか。
政光氏 これまでも、チラシ配布やイベント、ポイント施策といったさまざまな販促を行ってきました。
ただ、どうしても「今までこうやってきたから、今回もこうしよう」という従来の型を踏襲する部分はありました。
施設自体は新しいのですが、運営については過去のやり方にとらわれていた部分もあったと思います。ニーズも多様化していますし、海老名という場所に合った施策を改めて考えていかなければならないという問題意識がありました。
――そのなかで、人流データにはどのような可能性を感じましたか。
政光氏 一番大きいのは、施策を実施して、その結果を見ながら改善できることです。
これまでは難しかった、人流の変化をデータで捉え、施策の検証に活かせる点に大きな魅力を感じました。

重視したのは「継続的な人流データ」と「属性情報」
――人流分析を検討するうえで、特に重視していたことを教えてください。
政光氏 大きく2つありました。
一つは、人流データを継続的に取得できること。もう一つは、通行している方の属性まで把握できることです。
例えば、携帯電話の位置情報を活用したデータでは、取得できる属性や対象に制約があります。私たちの施設はファミリー層が主なターゲットなので、子どもを含めた人の動きを把握できることも重要でした。
また、AIカメラであれば、人流だけでなく属性も含めて分析できます。その点は、導入を検討するうえで大きなポイントでした。
最大の懸念は「費用対効果」。それでも導入を検討した理由
――一方で、AIカメラを導入することへの懸念はありましたか。
政光氏 一番大きかったのは、やはりコストです。
人流データを取得したからといって、投資した金額をすぐに回収できるわけではありません。AIカメラ自体、会社として初めての取り組みだったので、そこにどこまでお金をかけてよいのかは難しい判断でした。
ただ、人流を増やせれば、結果としてテナントの売上向上につながる可能性があります。テナントの売上が伸びれば、商業施設側の収益にもつながります。
現時点では、ようやくデータがそろい始めた段階ですが、これからそのデータを使ってどこまで成果につなげられるか。そこに期待しています。
なぜTRASCOPE-AIを選んだのか|導入の決め手とプロジェクトの進め方
人流データの活用に可能性を感じる一方、導入にあたってはコストや使いやすさ、取得できるデータの内容など、さまざまな条件を比較する必要がありました。
数ある選択肢のなかで、なぜTRASCOPE-AIを選んだのでしょうか。選定の決め手やカメラ設置時の工夫、さらに導入後の初期分析で見えてきた変化について伺いました。
決め手は「コスト」「取得できる属性」「現場で使える操作性」
――複数の選択肢があるなかで、TRASCOPE-AIを選んだ決め手を教えてください。
政光氏 最終的に大きかったのは、まずコストですね。人流データの活用には期待していましたが、先ほどお話ししたように、費用対効果は導入時の大きな懸念でした。
長谷川 その点、TRASCOPE-AIは既存のカメラを活用できる場所ではそのまま利用できるので、新たに設置するカメラを抑えることができます。初期費用を抑えながら始められる点は大きかったと思います。
一般的なAIカメラは、顔認識をベースに属性を推定する方式が多くみられます。その場合、顔を大きく映す必要があるためカメラの台数が増えやすく、既存の防犯カメラをそのまま使うことも難しくなります。
TRASCOPE-AIは、顔ではなく人の全体像から属性を推定する方式です。膨大な量の画像を学習させたモデルを使うことで、既存のカメラを活かせるケースが多く、初期コストを抑えやすくなります。
――取得できるデータについてはいかがでしたか。
政光氏 そこも重要でした。
ViNA GARDENS PERCHは、子育て世代やファミリー層を主なターゲットとしています。そのため、大人だけでなく、子どもを含めてどのような方がこのエリアを訪れているのかを把握したかったんです。
人流を把握する方法としては、位置情報データやセンサーを使う方法もありますが、取得できる対象や属性にはそれぞれ違いがあります。私たちとしては、人の流れだけではなく属性も見たかったので、AIカメラを使う方式が合っていました。
長谷川 特に、TRASCOPE-AIは、人の全身像から年齢層や性別などを推定できるため、施設のターゲットに合ったデータを取得できる点がマッチすると考えておりました。
――実際にシステムを使う現場の立場から、操作性はいかがでしたか。
中村氏 そこは使ってみて改めて良さを感じています。
比較した他のシステムのなかには、「高機能だけど、逆に使いこなすのが難しそうだな」と感じるものもありました。
その点、TRASCOPE-AIは、説明書を細かく読まなくても感覚的に操作できます。私自身、新しいシステムが特別得意というわけではありませんが、それでも問題なく使えています。
データは取るだけでは意味がないので、現場の担当者が日常的に触れることができる。その使いやすさは、実際に導入してから特に実感しているポイントです。
――丸紅I-DIGIOグループとしても、使いやすさは重視しているのでしょうか。
前田 データ活用は、どうしても専門的で難しいものになりがちです。だからこそ、現場の方が日常的に使えるかどうかを重視しています。
分析の仕組みを導入しても、使いこなせなければデータは活きません。感覚的に操作できることは、私たちが提供価値として大切にしている部分です。
カメラの設置場所を工夫することで、「撮られている感」をできるだけ抑えた
――カメラはどのような場所に設置したのでしょうか。
中村氏 今回は、ViNA GARDENS PERCHの館内および周辺施設に設置しています。ViNA GARDENS PERCH館内については既存の防犯カメラを活用しました。
――館内で既存のカメラを活用したのには、どのような理由があったのでしょうか。
中村氏 一つはコストです。ただ、それだけではありません。
館内にはすでに防犯カメラがあります。そこにさらに新しいカメラを何台も増やしてしまうと、お客さまから見たときに「すごく撮られている」と感じられてしまう可能性があります。
できるだけそうした印象を与えたくなかったので、既存のカメラを使える場所では活用するという考え方にしました。
――設置にあたって、テナントや施設関係者との調整で苦労したことはありましたか。
中村氏 大きな調整はありませんでした。
長谷川 館内についてはもともとの防犯・監視カメラを活用していますし、レジ周辺など、個人情報に関わるものが映り込むような場所を分析対象にしているわけではありません。
中村氏 建物を直接管理しているPM会社とは、「この場所で問題ないですよね」という確認をしながら進めましたが、設置場所を巡って大きく揉めたり、テナントとの交渉が必要になったりすることはありませんでした。
既存設備を活用しながら進められたので、現場への負担を抑えて導入できたと思います。
分析して見えたのは、「同じ8万人」でもまったく異なる人の動き
――実際にデータを取得してみて、想定と違っていたことや新しい発見はありましたか。
政光氏 一番印象的だったのは、平日と休日で人の動き方が大きく違っていたことです。
通行量の総量だけを見ると、そこまで大きく変わらないです。ただ、時間帯別に見ると、人が増えるタイミングがまったく違いました。
平日は朝と夕方に大きな山ができます。一方、休日は午後に山ができる。平日は通勤・通学の方が多く、休日になると昼間にファミリー層が増えてくるという違いが、データではっきり見えるようになりました。
――以前の調査では、そこまで分からなかったのでしょうか。
政光氏 そうですね。
自由通路を1日約8万人が通っていること自体は、これまでのカウント調査でも分かっていました。ただ、「8万人」という総量だけでは、その人たちがいつ通っているのか、どのような方なのかまでは見えません。
今回、時間帯や属性まで見られるようになったことで、これまで肌感覚で捉えていたものを、具体的なデータとして確認できるようになりました。
まだ分析を始めたばかりですが、例えば休日のどの時間帯にイベントを実施するのがよいのか、どの層に向けて販促するのがよいのかなど、施策を最適化するための材料がそろい始めたと感じています。
――ほかの施設でも、同じような発見はあるのでしょうか。
長谷川 そうした声はよくいただきます。「肌感覚で捉えていたイメージと、実際のデータが違っていた」という反応です。
特に、時間帯や曜日によって人の動き方が想定と異なっていた、というケースは多く見られます。まずそこに気づいていただくことが、データ活用の出発点になると考えています。

人流データが変えたマーケティングと運営の現場
TRASCOPE-AIの導入によって、これまで把握できなかった時間帯別の人流や属性をデータとして確認できるようになりました。
そこで、取得したデータを現在どのように活用しているのか。また、販促やイベント、テナント誘致などに今後どう活かしていきたいのか、具体的な活用方法について伺いました。
店長会での会話が変わった|肌感覚から数字へ
――取得した人流データは、現在どのように活用していますか。
中村氏 現在は店長会などに参加して、人流データをテナントの皆さんに共有しています。
これまでは、どの時間帯に人が多いのかといったことも、店長やスタッフの肌感覚で捉える部分が大きかったと思います。それが今では、データとして「この時間帯に人が増えています」とお見せできるようになりました。
例えば、そのデータをもとに「この時間帯に合わせて人員をどう配置するか」といったことも検討していただけると思います。
ただ、まだ具体的な施策にまで落とし込めているわけではありません。まずは平日と土日の違いや、それぞれの時間帯の特徴などをお伝えして、店舗運営を考えるための材料としてお渡ししている段階です。
――店舗によって、データの活かし方も変わってきそうですね。
中村氏 そうですね。飲食と物販でも違いますし、飲食店でも店舗によって混雑する時間帯は異なります。
まだ、そこまで活かしきれてはいませんが、店長会などで継続的に情報をお伝えしながら、それぞれの店舗で活用してもらえればと思っています。
仮説検証が回せる不動産ビジネスへ|売上連動賃料の構図とリーシングへの波及
――マーケティングや販促の面では、人流データの導入によってどのような変化がありましたか。
政光氏 大きいのは、仮説を立てて検証できるようになったことです。
ネットビジネスであれば、施策を実施して数字を確認し、結果を見ながらトライアンドエラーを繰り返すことは当たり前だと思います。一方、不動産ビジネスでは、なかなかそこまでフットワーク軽く施策を変えることはできません。
ただ、販促や集客といったスポットの取り組みであれば、人流データを見ながら変えていける可能性があります。そこはすごく魅力を感じています。
例えば、ViNA GARDENS PERCHはギフトや「ハレの日」の需要に比較的強い施設です。SNS広告などの販促を行ったあとに人流がどう変わったのかを見ることで、「どういう販促をすると、どのような人が来るのか」といった仮説を立てて検証できるようになります。
まだ、それが成果に結びついている段階ではありませんが、仮説検証ができるようになったこと自体は、大きな変化だと感じています。
――今後、施設の売上や収益にもつながっていくと考えていますか。
政光氏 そうですね。商業施設側が販促を考えて来館者を増やせれば、テナントの売上にもつながります。
私たちがいただく賃料には、テナントの売上に応じて変わる部分もあります。そのため、テナントの売上が伸びれば、私たちの収入も増えるという構図です。
そういう意味では、人流データへの投資を回収できる可能性はあると思っています。ただ、現時点ではようやくデータがそろった段階なので、これから実際の施策に活用していくところですね。
――テナント誘致にも、人流データを活用できそうでしょうか。
前田 テナントとの交渉では、「このエリアには、この時間帯にこういう属性の方がいます」と示せることは、一つの材料になると思います。
2年に1回の調査ではなく、日々取得しているデータとして示せることもポイントです。出店後もそうした情報を見ながら運営できることを伝えられれば、出店を検討するテナントにとっても一つのメリットになるのではないかと思っています。
「イベントは賑やかしなのか」問題に、エビデンスで答える
――今後、人流データを特に活用したいテーマはありますか。
政光氏 イベントの効果検証には活用していきたいですね。
海老名では、夏祭りやクリスマスイベントなど、エリアマネジメントの一環としてさまざまなイベントを開催しています。ただ、イベントには当然コストがかかりますし、「イベントをやる意味が本当にあるのか」という議論もあります。
「賑やかしでしかないのではないか」と言われることもありますが、私たちが開催するイベントが本当に施設の価値や売上につながっているのかを、きちんと数字で示したいと考えています。
これまでは、そのエビデンスを取ることがなかなかできませんでした。そのため、人流データを活用して、「イベントを実施したことで人流がこう変わった」「売上にもこうつながっている」と示せるようになればいいと思っています。
エリアマネジメントはほかの鉄道会社でも取り組んでいますし、イベントに本当に効果があるのかという課題に直面している方は多いと思います。そうした場面でも、人流データは活かせるのではないでしょうか。
――丸紅I-DIGIOグループにも、同様のご相談は多いのでしょうか。
前田 イベントや販促の効果をどのように検証するかというテーマは、商業施設や鉄道事業者の皆さまから多くご相談をいただきます。
これまで数値化できていなかった部分が可視化されると、施策そのものの意味づけを見直せるようになります。人流データは、その土台になるものだと考えています。

今後の展望|生成AIやロボットと連携し、人流データの活用をさらに広げる
TRASCOPE-AIによる人流データの取得は、まだ始まったばかりです。今後は、人流データをほかのデータやテクノロジーと組み合わせ、どのように活用していくのかが次のテーマとなります。
生成AIを活用したデータ分析やAI案内ロボットとの連携など、丸紅I-DIGIOグループと小田急電鉄が考える今後の展望について伺いました。
外部データ×生成AIで、「風が吹けば桶屋が儲かる」を見つける
――丸紅I-DIGIOグループとしては、今後どのようなデータ活用を提案していきたいと考えていますか。
長谷川 カメラを入り口として、これまで数値化できていなかった人の流れが見えるようになってきました。ただ、私たちとしてはカメラ単体ではなく、取得したデータをどう活用するかというところまでお手伝いしたいと考えています。
例えば、人流は天気や曜日などさまざまな要因から影響を受けます。小田急電鉄様が持っているデータや、一般的に取得できる外部データなども組み合わせれば、「風が吹けば桶屋が儲かる」のような、これまで気づかなかった相関が見つかる可能性もあります。
そうした関係を人が一つひとつ探していくのは大変です。そこで考えているのが、生成AI、LLMの活用です。
データを渡して、会話をするように質問すれば答えが返ってくる。データ分析は難しくなりがちですが、生成AIを使うことで、現場の方にも使いやすい形にできるのではないかと考えています。
さらに、データを分析するだけでなく、「では、ここを改善するにはどのような施策が考えられるのか」と提案し、資料にまとめるところまで支援できるような取り組みも検討しています。
――小田急電鉄では、人流データとほかのテクノロジーを組み合わせた活用も考えていますか。
中村氏 ViNA GARDENS PERCHには、AIを活用した案内ロボットを設置しています。ただ、こちらもまだ十分に能力を活かしきれていない部分があります。
今後は、案内ロボットのトーク内容なども分析しながら、よりスムーズに店舗を選んでもらったり、施設内を回遊してもらったりするために活用していきたいですね。
ロボットの近くにはディスプレイもあり、LINEの友だち登録や店舗でのプレゼント企画なども行っています。そうした施策と人流データをうまく組み合わせて、館内の誘導やロボットの移動経路などにも活かせることがあるのではないかと思っています。
人流データもロボットも含めて、使えるものがいろいろとそろってきました。私たちはそれを「おもちゃ」と呼ぶこともありますが、せっかくそろったものをどう活かすか。楽しみながらいろいろ試していきたいですね。
同じ悩みを持つ鉄道事業者へ|人流データ活用の可能性
――最後に、TRASCOPE-AIに興味を持っている商業施設や鉄道事業者の方へ、メッセージをお願いします。
政光氏 私たち自身、まだデータを十分に活かしきれているわけではなく、これから実績をつくっていく段階です。
ただ、鉄道会社で商業施設の運営に携わっている方には、活用できる場面が多いのではないかと思っています。
特にイベントについては、「本当に効果があるのか」と悩んでいる方は多いと思います。人流データを使って、イベントによって人の動きがどう変わったのかを検証できることは、一つの活用方法になるのではないでしょうか。
私たちとしては、最終的にこうした取り組みを通じて鉄道の利用者が増え、「乗降客数が増えました」と言えるようになれば、非常に大きな成果になると思います。
――丸紅I-DIGIOグループとしては、いかがでしょうか。
前田 私たちも今回、海老名の街を実際に歩いてみて、ファミリー層やお子さんを連れた方が本当に多く、幅広い世代に支持されている街だと感じました。
そうした街がさらに伸びていく過程で、人流データの解析に携われることには大きな意味があると感じています。少しでもお役に立てるデータをご提供していきたいですね。
また、データは取得するだけで終わってしまいがちですが、そこからどう活かすかまで、これからもお客さまと一緒に取り組んでいきたいと考えています。
海老名での取り組みは、まだ人流データを取得し、活用を始めた段階です。今後は、販促やイベントの効果検証、テナントへの情報提供など、実際の施策にデータを活かしながら、その成果を検証していくことになります。
これまで経験や肌感覚で捉えていた人の流れをデータとして可視化し、仮説を立てて検証できるようにする。TRASCOPE-AIを活用した小田急電鉄の取り組みは、ここからさらに本格化していきます。
商業施設の人流分析に、こんなお悩みはありませんか?
- イベントや販促施策を実施しても、来館者への効果を定量的に検証できない
- 通行量調査が数年に一度の手作業に頼っており、時間帯別・属性別の傾向が分からない
- 新たなカメラの増設コストがネックとなり、人流データの活用に踏み出せない
上記のようなお困りごとがありましたら、AI映像解析サービス「TRASCOPE-AI」をご検討ください。既存の防犯カメラなどをそのまま活用しながら、人の全体像から属性まで推定できるため、新規カメラの増設を抑えつつ、時間帯別・属性別の人流を継続的に可視化できます。取得したデータは、イベント・販促の効果検証やテナント誘致など、商業施設運営の意思決定に活用いただけます。
\既存カメラを活かして人流・属性データを可視化/
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