なぜ今「外部接続点」なのか?医療機関が抱える課題
サイバー攻撃の多くは、病院のネットワークにおける「死角」から侵入します。過去のインシデントでも、電子カルテに直接接続された部門システムや保守用VPN装置の脆弱性が侵入経路となりました。
厚労省が実施した調査研究等でも、医療機関のネットワークには特有の構造的リスクが存在することが示されています。

図のようなネットワークはごく一般的な病院ネットワークかと思います。部門ごとに異なるITベンダーからシステムが導入されているかと思います。これは導入機器の都合であり、仕方がないことですが、異なったベンダーにより形成され各種ネットワークは管理者も全体図を把握できない状況を生みます。
把握できない場合、結果として管理の及ばない「裏口(外部接続点)」が放置され、サイバー攻撃の入口となってしまいます。そいて、インシデント発生時に対応できる専門人材の不足も重なり、安全性の検証が後手に回ってしまいます。
これら課題は認識しているが、是正できないというのが担当者の苦しみではないでしょうか。
ガイドラインとR9年度予算要求から解剖する「補助金計画」の流れ
厚生労働省の動向を時系列で整理すると、単に「セキュリティ機器を配る」のではなく、「現状の可視化 ➔ 統合・適正化 ➔ クラウドネイティブ化」という明確なストーリーが存在することが分かります。
厚労省の支援策の移り変わり
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期間 |
事業名・施策 |
支援の目的・対象範囲 |
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R5〜R7年度 |
外部ネットワーク接続点の安全性の検証・検査(補正・当初予算) |
電子カルテ導入病院を中心に、厚生労働省委託の専門業者が外部接続点の安全性やリスクを点検・検証(R6年度実績:1,363病院)。 |
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R7〜R8年度 |
医療機関におけるサイバーセキュリティ確保事業(補正14.7億円等) |
点検結果を受け、「外部接続点の適正化」へと対象を拡充。ネットワーク統合計画の作成支援や、統合に必要な物品費用の補助を実施。 |
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R9年度〜 |
医療情報システムのクラウドネイティブ化とサイバーセキュリティ強化(概算要求:2,561億円+事項要求) |
オンプレミス型からクラウドネイティブ型への刷新を見据え、足元の外部接続点を完全に適正化・清算し、全国的なデータ連携基盤を構築。 |
補助金計画の「真の狙い」
R6年度の検証事業において、「多くの医療機関で外部接続点が多数存在し、管理が困難になっている」という実情が浮き彫りとなりました。
そのため、R7年度補正予算からR9年度予算要求にかけての手厚い支援は、「次世代の医療DX(クラウドネイティブ化やデータ共有)へ進む前に、混迷を極める院内ネットワークの"裏口"を徹底的に点検・整理・集約しなさい」という国からの強力なメッセージということになります。
ガイドラインが求める「外部接続点の把握と管理」とは?
医療情報ガイドライン第7.0版や関係調査資料において、外部接続点の管理は非常に厳密な要件が定められています。
網羅的な接続点(回線)の洗い出し
管理下から漏れている回線(シャドーITやベンダー独自の保守回線)をゼロにすることがスタートラインです。

リモートメンテナンスの厳格化と責任分界
ガイドラインでは、外部からの接続(リモートメンテナンス等)に対して単にVPNを置くだけでは不十分とし、以下の管理措置を求めています。
技術的要件
盗聴リスクを考慮したVPN等の利用、TLS1.2以上、多要素認証(なりすまし防止)、通信の暗号化、アクセスログの監視。
責任分界の明示
ネットワーク事業者やシステムベンダーとの間で、機器の脆弱性修正や有事の一次対応など「誰がどこまで責任を持つか」を契約・SLAで明確化すること。
特定商材に頼らない「4つの検討プロセス」
「新しいセキュリティ機器やUTMを買えば解決する」というアプローチは根本的な解決になりません。製品導入の前に、病院と地場ベンダーが連携して正しい検討プロセスを踏むことが成功の鍵となります。
このプロセスを経ることで、無理のない投資計画が立ち、病院を支援するベンダー様にとっては「自社システムだけでなく、病院全体の信頼性を高める提案」が可能になります。

※出典一覧
第一歩は「現状の棚卸し」から
外部接続点の適正化は、病院の安全を守るためだけでなく、地場ベンダー様が病院からより一層信頼されるための重要テーマです。
「自院の回線がどこまで把握できているか分からない」「他社ベンダーが絡むネットワークの整理が進まない」とお悩みではありませんか?
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